【香川調理製菓専門学校】和洋中から製菓まで 豊富な実習レポートの積み重ねが 現場に活きる貴重な財産となる

メモの習慣化でレシピの引き出しを増やす

1959年創立の香川調理製菓専門学校は、調理師学校として東京都で最初に認可された歴史ある専門学校。

女子栄養大学女子栄養大学短期大学部を擁する学校法人香川栄養学園としてのシナジーを活かしながら、数々の優れた料理人を輩出してきた。

伝統の中で進化し続ける同校の魅力について古川瑞雄校長に伺った。

一品一品メモを取り
ノウハウを蓄積させていく料理人を育てたい

―貴校での学びのステップについて教えてください。

本校では1年制の「調理師科」と「製菓科」のほか、2年制の「調理マイスター科」と、1年制の調理師科を卒業後、次年度は1年制の製菓科に進学し、2年間で幅広いスキルを身につける「テクニックコース」も設置しています。

4つの科・コースで共通して重視しているのは、「手洗い、挨拶、身だしなみ」という基本的な心構えを身につけること。プロは、おいしい料理やデザートをつくることはもちろんのこと、安全・安心のための衛生管理を徹底することが大前提だからです。

その上で本校では、包丁の持ち方や研ぎ方、切り方、管理方法などの基本を習得し、2年制の調理マイスター科と1年制の調理師科では、和洋中の調理技術をバランスよく、かつ深く学ぶことが特徴です。

近年はフレンチの巨匠が和食の要素を取り入れるなど、和洋中の融合も進んでおり、繰り返し和洋中の技術を磨き続けていきます。

こうした衛生管理の徹底や、確かな基本を身につけた上で幅広い調理技術を習得していく大切さは、私自身、料理人として総料理長まで務めさせていただいたホテルオークラが運営する国内外の店舗で長年実感し、重視してきた実体験がベースになっています。

 

―授業では具体的にどのような点を重視していますか?

授業で扱うメニューは、教員が実際に現場で調理していたものが中心です。

その際に学生は必死にメモを取り、使用する食材や調味料、火の入れ具合、盛り付け方法などを写真つきの実習レポートとしてまとめていきます

メニューごとにファイリングして、それが2年分ともなれば、世の中のレシピブックを遥かに上回る多彩なレシピ集が完成。料理人としての貴重な引き出しとなります。

レシピは丁寧にまとめれば再現性が高くなり、現場での情報共有や、後輩への指導にも役立ちます。プロでも必死にメモを取りますので、その面でも料理人としての資質が養われていきます。

また、調理マイスター科と調理師科では「集団給食調理実習」を行います。将来ホテルに就職すれば、招待客が千人を超える大規模なパーティーで腕を振るう機会もあります。そこで役立つのが、大量調理の経験です。

仕込みから提供まで時間の制約がある中で、クオリティとともにスピードの大切さを体感でき、給食受託企業に限らない多様な就職先で活かせるスキルが培われます。

―実習面では、校内に営業店舗を持つ点も大きな特徴だと思います。

本校の強みは、校内に2つの営業店舗を常設している国内唯一の専門学校であることです。

調理師科では「レストラン松柏軒」で「営業調理実習」を行い、調理からサービスまでの総合的な実践力を身につけます。

製菓科では「菓子工房プランタン」で「臨地実習」を行い、仕込みから販売までの作業の段取りを考えながら、現場で活かせる技術力を高めていきます。

また、調理マイスター科では、2年次に「レストラン営業実習」を実施。学生用・職員向けの調理を経て、一般のお客様向けの料理提供にチャレンジします。一般向けは予約制なのですが、毎回完売になるほどの人気ぶりです。

2年次には有名ホテルなどでの1か月間にわたる給与支給型のインターンシップにも参加しますので、校内と校外で実習を行う「デュアル実習」体制で実践力の向上につなげます。

日々の授業をおろそかにせず
未来につながる第一歩を踏み出してほしい

―就職状況はいかがでしょうか?

就職先は、大手を中心とするホテルが約40%を占め、製菓や集団調理がともに約10%です。コロナ禍においても大きな影響はなく、2021年3月の卒業生は、内定率がほぼ100%です。

学生自身が真面目に取り組んだ成果であることはもちろんのこと、ホテルやレストランでの実務経験の長い教員が多く、業界でのネットワークを活用して就職先を紹介できるケースもあります。

本校だけに直接、人材の問い合わせが来るケースもありますし、卒業生が業界に多いことも強み。

教員を慕って卒業生が来校することも多く、その際に在校生がアドバイスを受けて、就職活動に役立てるケースも多いといえます。

 

―最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

高校生のうちから、日々の授業をおろそかにせず、自分の将来につながる貴重な時間を大切に使ってほしいと思います。例えば、高校までに勉強する基本的な数学の知識は、食材を調達し、原価計算をする際など、将来の店舗運営に欠かせません。

また、その他の授業でも、こまめにメモを取るよう心がけてください。メモを取る習慣は、レシピの再現のためだけでなく、就職活動や店舗運営でも必ず役に立つ社会人の基本なのです。

最後になりますが、食べて楽しむことが自分のための勉強に直結するのが食の世界です。味や食器、接客、店内の雰囲気まで、食に関する観察と実体験を重ね、専門学校入学に備えてくれることを願っています。

古川瑞雄 校長
昭和46年に本校の調理師科を卒業し、ホテルオークラに入社。昭和52年から5年間はホテルオークラ アムステルダムに海外勤務。帰国後は、ホテル内の宴会場やレストラン等で経験を積み、平成18年から5年間、ホテルオークラ神戸 取締役総料理長を務め、平成24年4月から本校副校長、平成28年4月から校長。
香川調理製菓専門学校
調理マイスター科 2年制/調理師科 1年制/製菓科 1年制/テクニックコース 調理師科 1年制+製菓科 1年制
〒170-8481
東京都豊島区駒込3丁目24-3
TEL 0120-760-593

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