KADOKAWA、アサヒグループなど大企業がサイバー攻撃の被害に遭ったニュースを目にする機会が増えている。そのため企業では、サイバーセキュリティ専門のエンジニアを配置することが急務となっているが、この分野を任せられる人材は極端に不足しているという。
サイバーセキュリティ分野の現状と課題、この分野の人材育成について、日本工学院専門学校IT カレッジの太田晶先生に話を聞いた。
国家資格「情報処理安全確保支援士」を取得すれば就職は盤石!
デジタル社会を守るサイバーセキュリティとは
―「サイバーセキュリティ」とはどのような分野でしょう?
「情報セキュリティ」との違いも含めて教えてください。
「情報セキュリティ」は、デジタルデータだけでなく、紙の書類なども含めた情報の取り扱い方全般が対象になります。一方で「サイバーセキュリティ」は、主にコンピュータやネットワーク空間を守る分野です。パソコンやスマートフォン、クラウド、生成AIを使った作業環境など、サイバー空間で発生する脅威に対抗する技術を扱います。
最近は、AIの急速な発展によって、これまでハッカーや専門家でなければ発見できなかったセキュリティの脆弱性を初心者でも簡単に見つけられるようになり、大きな問題になっています。また、皆さんが持っているスマホが攻撃端末として使用されるリスクもあります。スマホアプリの裏側に不正なプログラムが仕込まれ、利用者はもちろん、開発者も気づかないうちに犯罪に利用されるようなケースもあります。
こうした現状を踏まえ、日本工学院では、2027年4月から4年制の「サイバーセキュリティ科」を新設する予定です。ITインフラの構築からサイバー攻撃・防御に必要なスキルまで体系的に学ぶことができます。「つくる・攻める・守る」(後述)を実践的に体験できるカリキュラムで、時代が求めるサイバーセキュリティエンジニアを育成します。
―サイバー攻撃をめぐる業界・企業等の現状を教えてください。
近年、大企業がサイバー攻撃の被害に遭ったというニュースを多数目にします。社員数が多い環境では情報統制が難しく、内部から侵入されるリスクも高まります。また、海外と比べると日本企業はサイバーセキュリティへの危機感が弱い傾向があります。この分野に対応できるエンジニアも圧倒的に不足しています。
日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)もなかなか進んでおらず、AIや情報セキュリティ分野の専門知識を持った人材を配置することが、一般企業においても急務とされています。
―サイバーセキュリティエンジニアとは、どのような知識・技術・資格を持った人のことでしょう?
ハードウェアからソフトウェアまで理解できる「フルスタックエンジニア」と呼ばれる人材が理想です。アプリケーション開発から物理的なネットワーク構築まで幅広く対応できるエキスパートになります。
求められる資格としては、国家資格である「情報処理安全確保支援士」、「ネットワークスペシャリスト」などが挙げられると思います。
―サイバーセキュリティ分野を学ぶ上で、大学と専門学校の違いはありますか?
大学は情報セキュリティに関する理論的な学びが中心になります。また、情報系以外の一般教養も幅広く学べます。一方、専門学校は、実践重視のカリキュラムで、早期からサイバーセキュリティに関するスキル習得に集中できます。また、企業連携も活発に行われています。「理論を極めたい人」か「即戦力になりたい人」かで、選択肢が変わるでしょう。
サイバーセキュリティ分野に関していうと専門学校でも4年かけてしっかりとスキルを積み上げるのが理想的です。本校が新設するサイバーセキュリティ科では、自分の手でシステムを構築する(つくる)→実際に攻撃してみる(攻める)→守り方を学ぶ(守る)というサイクルを回しながら、4年かけて実践的に学んでいきます。特に学生一人ひとりに用意された専用サーバを自ら攻撃し、壊して、つくり直すような経験ができる環境は貴重だと思います。
「情報処理安全確保支援士」の資格取得支援体制をチェック!
―専門学校選びのポイントがあれば、教えてください。
先ほど申し上げた専用サーバが用意されているような実践的な学習環境が重要になると思います。仮想環境での学習だけでなく、実際にハードウェアから理解することで、問題発生時にどの層で問題が起きているかを特定できる能力が身につきます。
また、社会連携の体制も重要です。実習先となる企業ネットワークの充実度も確認しておきましょう。
国家資格である「情報処理安全確保支援士」の取得に向けた支援体制も要チェックです。この資格は就職活動で必ず強みになります。
―サイバーセキュリティエンジニアの就職先とは?
インフラ・セキュリティ分野に特化したシステム会社に就職する人が多いでしょう。もちろんこの分野の知識を持ったエンジニアは、一般企業でも引く手あまたです。「情報処理安全確保支援士」の資格があれば、難関といわれる警察庁技官(サイバー警察部門)の受験資格も得られます。
―最後にこの分野に興味・関心のある高校生にメッセージを。
サイバーセキュリティエンジニアは、「社会の役に立ちたい」と思っている人にぴったりの職業です。また、「好奇心旺盛」「謎解きが好き」という人にも向いていると思います。システムの不具合の原因を探る作業は、まさに謎解きそのものです。この分野を目指すなら、高校時代から「サイバー攻撃」や「AIの進化」に関するニュースを追っておくといいでしょう。プログラミングなど情報系の基礎知識も必ず役に立ちます。
サイバー攻撃から「社会を守る」重要な仕事をぜひ将来の選択肢に加えてほしいと思います。
サイバーセキュリティ分野のポイント
1 国家試験取得の支援体制国家資格
「情報処理安全確保支援士」の取得に向けたサポート体制は充実しているか。
2 実践的な学習環境があるか
専用サーバが用意されているような実践的な学習環境が重要。仮想環境の学びだけでなく、実際にハードウェアから触ることで理解が深まる。
3 企業ネットワークの充実度
企業との実習プログラムなど、社会連携の体制も重要。カリキュラムで確認できる。
この質問に答えてくれた人

日本工学院専門学校
東京都大田区西蒲田5-23-22
TEL 0120-123-351
日本工学院八王子専門学校
東京都八王子市片倉町1404-1
TEL 0120-444-700
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ITカレッジ
科長 太田 晶 先生
2016年ITカレッジの教員として採用される。ネットワークやサーバ等のICTインフラや、AI・IoT等の授業を担当。試行錯誤できる実習環境づくりがモットー。