医療・福祉・教育施設など、多彩なフィールドで栄養のプロフェッショナルとして活躍

栄養バランスのとれた食事を提供し、食事によって人を健康にすることが栄養士のミッション。専門学校では、給食づくりのような大量調理を含めて現場での調理ができ、献立も考えられる即戦力人材の育成に重きが置かれている。栄養士を取り巻く実情や、専門学校の取り組みについて、武蔵野栄養専門学校久保淳校長にお聞きした。

まずは基本を習得し、専門特化したスキルを身につけていく

エッセンシャルワーカーのため求人は安定。
キャリア形成にはレシピの引き出しがカギになる

―栄養士としての就職先となる業界の動向をお聞かせください。

栄養士の就職先は、食堂を併設する医療機関や福祉施設、教育機関などのほか、こうした施設での給食づくりを受託する企業や、幼稚園・保育園などが挙げられます。

どれもテレワークが可能な業務ではないため、求人自体は高水準を保っています。

コロナ禍においては、学生食堂や社員食堂の閉鎖といった負の側面も見られますが、給食受託会社がデリバリーサービスに新規参入するなど、各社が業務範囲を拡大させる傾向もあります。いずれにしても、食事をつくる現場では栄養士は不可欠の存在ですので、雇用は安定しています。

 

―栄養士にはどのようなやりがいと厳しさがありますか?

やりがいは、「おいしかった」「ありがとう」と人から感謝されることです。食べてもらう方々からの言葉は大きな励みになります。

一方で、限られたコストの範囲内で栄養バランスを考えた主食・主菜・副菜を考えることが栄養士の役割。想定したバランスでの栄養摂取を実現させるためには、残さずに食べ切ってもらうことが大前提になります。

体への負担を考えるあまり塩分を抑えすぎると、「味がしない」「おいしくない」といった厳しい反応もありますが、だからこそ専門学校で献立づくりの工夫や、レシピの引き出しを増やすことが求められます。

 

 

「料理が好き」という気持ちに正面から向き合い、食への関心を高めてほしい

―専門学校を選ぶ際のポイントを教えてください。

栄養士として求められる資質は、調理ができて献立を考えられること。そのために学ぶべき内容は厚生労働省が定めており、カリキュラムの根幹では多くの学校で類似する部分もあります。

ただし、本校では他校よりも「大量調理実習」に時間を割くなど、各校で具体的な科目構成は違いますので、実際のカリキュラムを見比べることが大切です。

また、補習制度の有無や、クラス担任制度の有無など、日々の学校生活での支援体制も判断要素になります。不安や悩みを気軽に相談できる環境であれば、モチベーションの維持・向上につながるからです。

そして、その成果として参考にすべきなのが就職実績就職支援体制です。

各校では、企業の人事担当者による学内説明会が開催されています。こうしたイベントを行えること自体、その学校で鍛えられた人材に対する企業からの期待の証ですので、ぜひ開催の有無をチェックしてみてください。

また、栄養士として活躍している卒業生の話から、就職活動に役立つ気づきが得られることも多いため、就職支援プログラムに卒業生との語らいの場が設けられているか、また、どのような卒業生の話を聞けるかという点からも、各校のサポート体制や強みを知ることができるでしょう。

 

―入学時のコース選びも重要なのでしょうか?

医療施設や高齢者施設、保育施設など、就職先によって必要な知識には差があるため、在学中から専門性を高めるために、各校がさまざまな分野別コースを設けています。

また、近年はスポーツ業界でも日頃の栄養面をより重視する傾向にあり、本校でも2021年4月から「スポーツ栄養コース」を新設します。

コース別での学習では、それぞれの分野での実務経験豊富な講師が実践的な指導を行うことで将来像をイメージしやすくなり、専門特化したスキルを習得するためのモチベーションの向上にもつながります。

ただし、専門学校で最も大切なことは栄養士としての基礎固めだということを忘れることなく、学校選びやコース選びをすることが大切です。

 

―入学前から心がけておくべきことはありますか?

若いうちからの正しい食習慣が生活習慣病対策にもつながるといわれており、今後は健康寿命を伸ばす食の提案ができる栄養士のニーズが高まるでしょう。

ですから、市販の食料品を購入する際に、塩分やカロリーなどの成分表示に気を配るなど、食への関心を高めておいてください。加えて、「食品ロス」などの社会問題に目を向ける意識も大切です。

また将来は、医療施設や高齢者施設、保育施設などでは専門スタッフと協働での業務が生まれるほか、食事を提供する相手の要望を聞く場面も生まれますので、人間関係の潤滑油となるコミュニケーション能力も大切。

自分の考えをしっかりと相手に伝えながら、栄養士としての役割を果たしていくために、今のうちから多くの人と話す機会を設け、対人能力を磨いてほしいと思います。

最後に一点、「料理が好き」という気持ちに正面から向き合い、自分でお弁当をつくることを習慣づけるのもいいかもしれません。日常的に調理する経験を積み重ねていけば、専門学校での学びとの相乗効果によって、引き出しの多い栄養士へと成長していけるはずです。

 

栄養分野のポイント

1 どのようなコースを持つ学校か

栄養士が活躍できるフィールドは多彩なのでコース制で細かく学べるかどうかをチェック。

2 大量調理実習など、現場で役立つ実習が豊富か

栄養士として最初に携わることの多い大量調理を見すえた実習授業の充実度は要チェック。

3 日々の支援内容や就職実績も重要

ストレスなく学校生活を送りながら目標に近づける支援プログラムの有無も大切な判断要素。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 後藤学園
武蔵野栄養専門学校
久保 淳 校長
筑波大学体育専門学群卒業後、東京都内の公立高校で教諭、主幹教諭、副校長を経て校長に。東京都高体連会長や東京都奉仕・ボランティア教育研究会会長を歴任し、2019年度より現職。
取材後記
「今の学生たちには多くのコースからやりたいことを選んでもらい、クラス担任制で細かくサポートする形が合っていると思います。」というお話があったが、これは長年にわたり高校現場で生徒指導をされてきた久保先生ならではの現場感覚だろう。国家試験対策以外の授業に各校の魅力がでるというポイントもぜひ押さえておきたい。
学校紹介
武蔵野栄養専門学校

東京都豊島区南池袋3-12-5
TEL 0120-510-331
https://www.musashino-eiyou.ac.jp/

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