【学校法人誠心学園】チャンスが広がる調理・製菓の現場 若者たちは未来をどう見つけるか!?

深刻化する人手不足や機械化の加速で、飲食業界は大きな変革期にある。学校法人誠心学園の広瀬道理事長は、「これからの調理師・パティシエは、大型店における『機械化』と個人店における『創造性』の二極化時代を生きることになる」と語る。

若者にとってチャンスが広がる飲食業界で、今後求められるスキルや人材像について、広瀬理事長に話を伺った。

求められるのは、人間にしかできないサービスを「考える力」

―誠心学園では、調理と製菓・製パンの専門学校を運営されています。両校に通じる学びのコンセプトについてお聞かせください。

飲食業界では「人材不足」が深刻化しています。労働力人口が減少する日本社会において、これは必然といえます。また、大型のホテルやレストラン、大手の菓子メーカーなどでは調理現場の「機械化」も加速しています。一方、お客様のニーズは多様化し、個人店ではますます独創的なアイデアが求められています。

そんな時代を生きる調理師・パティシエに求められるのは、人間にしかできないサービスとは何かを「考える力」だと思っています。

調理・製菓の技術は、全国の専門学校で等しく学ぶことができます。だからこそ、学んだ知識をどう活かすかが問われる時代です。誠心学園では、こうした技術だけでなく、未来を生き抜くための力を身につけてほしいと考えています。つまり、それは、自分で考え、新たな価値を創造する力といってもいいでしょう。

国際フード製菓専門学校
広瀬 道（おさむ）　校長

―東京誠心調理師専門学校、国際フード製菓専門学校の特徴について、具体的に教えてください。

東京・蒲田にある東京誠心調理師専門学校は、昼間部の調理師科2年制、調理師科1年制に加え、調理師科夜間部2年制があります。

昼間部の調理師科2年制では、1年次に和・洋・中の調理技術から調理の理論、衛生管理のノウハウまで、調理師免許取得に必要な知識・技術・理論をすべて学びます。

そして、2年次は応用編として、1年間を4クールに分けて、フレンチ、イタリアン、日本料理の「フルコース」もしくは「アラカルト」の実習を学生自身が選ぶことができます。さらに、座学による店舗経営やメニュー開発の授業、接客サービスの実習など、調理以外の学びの機会も用意して、学生一人ひとりの適性を探っています。

一方、調理師科1年制のほうは、調理師になるための知識・技術・理論の習得を1年間の授業に凝縮しています。その中でも大きな特色は毎週金曜日に、校外インターンシップを実施していることです。本校と長いお付き合いのある優良企業や店舗が研修先なので、将来の就職先になる可能性もあります。また、インターンシップは有給なので、学費の負担軽減にもつながっています。

次に、横浜にある国際フード製菓専門学校についてですが、こちらは、2年制のシェフパティシエ科と製菓製パン科の2コースを用意しています。

シェフパティシエ科では、1年次に調理師に必須となる日本料理・フランス料理・イタリア料理の基礎的な技術・理論を学び、2年目に洋菓子・和菓子・パンの知識・技術・理論を実習中心に学んでいきます。調理と製菓製パンを網羅している形になります。

一方、製菓製パン科は、1年次に洋菓子・和菓子・パンの知識・技術・理論を全般的に学び、2年次からは前述の3種から1コースを選んで、専門的に学びます。こちらも「つくる」技術だけでなく、商品開発やパッケージデザイン、店舗運営のノウハウなどを幅広く学べるカリキュラムが特長ですね。

これは、学生たちに多くの選択肢を与えるためだけでなく、実習先や就職先となる企業の声を反映して、カリキュラムをデザインした結果です。

店舗運営をすべて体験できる「カフェ実習」を校内で実施

―校内の実習設備にも力を入れているようですね。

東京誠心調理師専門学校では、実習室にプロ仕様の最先端設備を完備しています。実習室ごとにメーカーの違うオーブンを配置するなど、プロの現場で即戦力になれる環境を整えています。また、食の安全管理にも力を入れており、校舎全体が食品安全マネジメントシステムの国際規格ISO22000でその高い安全性を認められています。

最新設備が整った東京誠心調理師専門学校の調理実習室

国際フード製菓専門学校は、校内の1階に本格的なカフェスペースを完備しています。そこで、一般のお客様を前に、調理から接客サービス、売上管理まで店舗運営のすべてを経験できる「カフェ実習」を実施しています。

JR横浜駅至近の国際フード製菓専門学校ではユニークな「カフェ実習」を実施

―資格取得や就職サポートの取り組みがあれば、教えてください。

東京誠心調理師専門学校では、調理師免許に加え、食品衛生責任者、フードコーディネーター3級、食育インストラクターなどの資格を取得できます。

また、国際フード製菓専門学校では、国家資格の「製菓衛生師」取得を前提にしたカリキュラムを特長としています。製菓製パンの技術に加え、衛生管理の専門知識を持つことは、将来大きな力になります。

就職に関しては、飲食業界の「人材不足」を背景に、周辺地域から両校の学生数を大きく上回る求人が寄せられています。誠心学園だけに求人を出してくれる長いお付き合いの企業・店舗もあります。

幅広い選択肢の中から、学生一人ひとりが納得できる就職先を選ばせることが私たちの使命だと考えています。最近はミスマッチを避けるために本人の適性を見て、教職員から就職先をすすめるケースもあります。これも就職支援の実績を重ねてきた本学園の新たな役割だと考えています。

―最後に誠心学園2校に興味のある高校生にメッセージを。

今後は、学校・業界・地域というトライアングルで学生を育成していく時代になっていくでしょう。業界人は専門学校の授業にどんどん入り込んでくるし、専門学校も地元の地域活性化のために人材を積極的に輩出していかなければいけません。

そういう意味では、働きたい地域や企業が明確にあるなら、つながりの強い学校を選ぶことで夢を実現できる可能性は確実に高まります。「食」のニーズが多様化する今、若者にとって飲食業界は希望の宝庫です。以前と違い、新人の意見がますます通りやすくなる可能性もあります。

飲食業の本質は「目の前のお客様に満足してもらうこと」です。そのためには、自分から積極的に行動し、集めた情報から新たな価値を生み出す技術やアイデアが必要です。こうしたスキルを誠心学園で身につけてほしいと思っています。

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