「つくる」のその先へ

多角的な分析力と対応力を備え店舗運営をけん引する人材を育成

学校法人誠心学園が運営する国際フード製菓専門学校は、 2020年1月・2月に開催された 「第12回製菓衛生師養成施設技術コンクール全国大会」において、 2年連続で「文部科学大臣賞」を受賞。 優れた技術者を育てる同校の教育理念について、 広瀬 道(おさむ)校長にお話を伺った。

店舗運営の”すべて”を網羅的に徹底指導

―これからの製菓業界で求められる力についてお聞かせください

本校のこだわりは、店舗運営のために行われるすべてのプロセスについて、徹底した指導を行うことです。「どうつくるか」だけではなく、「どう売るか」までの全体像を俯瞰し、カリキュラムに反映させることを重視しています。

具体的には、原価計算を含めた商品企画に始まり、その商品を魅力的に伝え、集客力を高めるための販促チラシやPOPのデザイン、ショーケース内での望ましい配置方法なども学びます。こうした学習を通じて経営・マネジメント意識が醸成され、それぞれのタスクを実行するための最適なオペレーションや、適材適所での人材配置ノウハウも身につけます。

さらには、業界内外と連携し、地域を巻き込みながら店舗を盛り上げるための方法や、そのために地域性や客層のニーズを把握するための方法、クレーム対応での留意点まで指導内容は多岐にわたります。店舗運営を多角的に分析する力を備え、実践につなげられる人材を育成したいのです。

―実践的なカリキュラムに込めた狙いについてお聞かせください

根幹にあるのは「専門学校は就職予備校である」という考えです。現場感覚を持ったプロによる指導によって生徒を高みへと引き上げ、将来の独立・起業にも役立てることを重視しています。

その成果の指標となるプログラムの一例が、パン専攻コース2年次の「カフェシミュレーション実習」です。1年次から学んできた内容の実践力を試すもので、スピードと正確性、豊富な作業量が求められます。客層や地域のニーズ、売れるであろう商品などを入念に調べ、実際に地域の方に販売します。製造から販売まで生徒が中心となって行いますので、まさに「つくるだけ」の実習ではありません。

日本国内で唯一 スイスの名門校の提携校に

―力をいれていらっしゃる海外研修についてもお聞かせください

本校の学びのフィールドは国内だけに限りません。毎年11月には9日間の海外研修を行い、世界的に有名なスイスの名門「リッチモント製パン製菓専門学校」で学ぶ機会もあります。さらに、国内で唯一、同校と提携を結んでいることも強み。同校に認定された本校の専任教員が、国内でも指導を行います。使用するのは本場スイスで使われているテキスト。実習後は、現地と同様の修了証書が授与されます。

この提携の意義は、経験や勘に頼るのではなく、世界的に定評のある確かな理論に基づいた製菓製パンのノウハウを学ぶことにあります。例えば、クッキーは砂糖の量に応じて硬さが変化します。砂糖は甘味であると同時に、乾燥材の役割を果たすため、生地の水分を吸って硬さが変わるのです。この理論・原理を用いれば、シニア向けのやわらかいクッキーから、歯ごたえを求める若者向けの硬いクッキーまで、多彩なバリエーションを生み出せます。こうしたノウハウを積み重ねていけるのです。

すべての設備には意図があり 将来に活きるヒントがある

―「つくる」技術以外に学んでおくべきことはありますでしょうか?

実践力を高める上で忘れてはならないのが、業務に不可欠な設備に関する知見です。本校では、食品安全マネジメントシステムの国際的なガイドラインである「HACCP」に沿った衛生管理を推進し、将来の安全・安心な店舗運営につなげていきます。

例えば、床の材質。あたたかな雰囲気で外見的に好まれるのはフローリングですが、調理現場で水分が床に落ちれば腐敗することもあります。ですから本校は石の床材を使用しています。また、調理台と床の接地面には平板を挟む方法が一般的ですが、本校ではその板の端を曲面にしています。それはホコリを取りやすくするためです。本校の生徒は、こうした細かい配慮の大切さを体験的に知ることができるのです。

また、より生徒本位の設備として重視しているのは、調理器具の種類です。例えば加熱方法をIHだけにすればメンテナンスが楽ですし、換気扇がなくても防災基準をクリアできます。しかし、就職先ではガスコンロだけかもしれません。だからこそ、本校ではガスコンロとIHの双方で腕を磨きます。

また、パンや焼き菓子に必須のオーブンも、メーカーを統一すれば導入コストを抑制できますが、当然、就職先によってオーブンは異なります。ですから、多様なメーカーのオーブンを揃えることで、生徒は焼き上がりの違いを知り、対応力を培うわけです。と同時に、それぞれの設備に応じたメンテナンス方法も学べますし、設備を大切にする意識も高められます。

つまり、「つくる」技術以外でも、知っておくべき大切な要素はたくさんあるということ。本校は、店舗運営ノウハウを学ぶ授業から設備面まで、すべてに明確な意図があり、幅広い知見を獲得できるチャンスに溢れています。製菓業界のプロとして必要な技術や知識をトータルで学びたいと考える若者は、ぜひ本校にお越しください。

学校紹介

国際フード製菓専門学校
製菓製パン科 2年制
製菓製パン科 1年制
調理師科 1年制
〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸2-9-6
TEL 045-313-4411
https://www.seishingakuen.ac.jp/international/