「映像やゲームが大好き」という思いを糧に つくり手の視点から作品にアプローチしよう

「おうち時間」を彩った映像作品やスマホゲームなど、コロナ禍でもエンタメ業界を牽引するヒットコンテンツを多く生んだCG・ゲーム業界

専門学校ではどのような技術を身につける必要があるのだろうか。日本電子専門学校五十嵐淳之先生に、業界の動向や求められる知識について伺った。

丁寧に基礎から教えてくれる学校で自主性を持って学ぶ

コロナ禍でもむしろ追い風に より一層求められるスキル

―まずは、CG・ゲーム業界の就職状況についてお聞かせください。

長引くコロナ禍でも大きなダメージを受けることはなく、むしろ映像コンテンツゲームをつくる業界は、「おうち時間」の増加が追い風になる側面もありました。

人材的にはコロナ禍以前から慢性的に不足している状態ですが、さらにニーズが高まっている傾向にあり、売り手市場が続いています。

また、「働き方改革」により長時間労働などが大幅に改善された企業や、コロナ禍を機にリモートワークにシフトした企業なども増えています。

 

―ここ最近の注目すべき業界の動向はありますか?

映画やテレビ、CMといったCG技術が使われる業界の動向としては、CG制作のコストが上がっていることが挙げられます。技術がどんどん洗練されているので、中途半端なクオリティでは見る人驚かなくなってきているのです。

ヒット作品をつくるには、より一層派手で、緻密な表現が要求されています。

一方のゲーム業界は、多大な予算と時間をかけて超大作ゲームをつくることが主流だった時代から、モバイル端末でカジュアルに遊べるゲームを、限られた人数予算で開発することが増えてきています。

どちらの業界でも、確かな技術力企画力などが必須で、就職活動で求められるスキルのハードルが上がってきているように感じます。

―専門学校を選ぶ際には、どのような点が重要になるでしょうか。

ゲームや映像に興味があっても、入学時は3DCG制作のソフトプログラミングにまったく触れたことがない初心者の方が大半です。ですから、どれだけ丁寧に基礎から教え理解してもらえるかが、専門学校の力量にかかっていると思います。

実はそれぞれの専門学校には、機材ソフトの質や充実度にほとんど差はありません。どこも最新の設備を揃える努力をしています。

だから注目すべきなのはそうした目に見える部分よりも、その設備を使って、「どう教えてくれるか」というポイント。

例えば、本校の特長のひとつとして、「オリジナル教科書」があります。これは、初心者でもつまずくことがないようにそれぞれの制作技術効率的に学ぶことができる、本校独自の学習教材です。

企業からのアドバイスや、業界で働きながら非常勤講師として学校で教えている教員に最新動向を聞きながら、毎年改良・刷新して業界のニーズに応えています。ゲーム制作の学科の場合には、この教科書に沿って学ぶだけで、1年間10作品以上のゲームをつくることができ、その過程で必要な技術も身につくようになります。

現場でクリエイターとして活躍していた教員も多く、技術+α生きた学びを提供しています。

 

今できないことがあっても将来を諦める必要はない

―企業とのつながりの強さも重要なポイントでしょうか。

企業とのつながりが強い学校だと、講演会や特別授業で直接、現場で使える技術を学べる機会を多く持てると思います。

日本電子専門学校の場合は授業の一環やインターンシップという形で、在学時から現場経験を積むことができる機会もあります。

昨年は、産学連携のひとつとして200名以上の学生たちが授業の課題で、ある映画のCGキャラクター制作に挑戦することもありました。自分たちがつくった作品が実際に映画で使われるという、社会とつながる実体験の場を豊富に持てると、やりがいや大変さも身に沁みてわかりますし、自信につながるはずです。

 

―どのような人がこの業界に向いていると思われますか。

ゲームや映像を「どれだけ好きか」に尽きると思っています。コロナ禍でリモート授業が増えて、そうした意欲の部分から如実に伸び率の差が出てしまっている傾向にあります。

「ゲームや映像が好きでたまらない」という学生は、授業以外でもどんどん吸収していきます。高校の部活動と同じで、学校で部活の時間だけ練習する人よりも、家に帰ってからの「自主練」もできる人が伸びていくのです。

ゲームや映像作品などは、目いっぱい見て・体感しておくことも大切です。その際に大事なのが「つくり手の視点」を持つこと。

映画を観て感動したら、ただ「感動した」で終わらせず「観客を感動させるためにどう工夫しているのか」を掘り下げてみてください。カメラの動かし方や画面の色使いなど、さまざまな工夫に気づくはずです。

ソフトの使い方などは学校で学ぶことができるので、まずはつくりたいイメージの引き出しをたくさん持っていてほしいと思います。

ユーザーに支持される新しいコンテンツをつくるには、トレンドを知ることも重要です。世の中の流行に敏感でいてください。

 

―最後に、高校生にメッセージをお願いします。

「私は絵が描けないからデザイナーになれない」といった声を聞くことがありますが、「今できる/できない」で将来を考えず、「何をやりたいか」を突き詰めましょう。

ゲームや映像の業界は分業化されていて、身につけた専門技術をもとに、自分が向いていると思う職業を幅広く考えることができます。「好き」をどこまでも追いかけてください。

 

CG・ゲーム分野のポイント

1 教材の質や教員の経歴をチェック

設備には学校間の差はあまり出ないため、教材の質や講師の背景など、「教え方」に注目。

2 企業・業界とのネットワーク

企業・業界との関わりが深い学校では、世に出る作品に携わるなど、臨場感のある経験ができる。

3 「好き」をどれだけ突き詰められるか

専門学校は、学生の「好き」=自主性に期待している。
つくり手の目線で作品を見ることができればさらなる強みに。

 

この質問に答えてくれた人

日本電子専門学校
クリエイター教育 部長
五十嵐淳之先生
千葉大学大学院教育学研究科修了後、同校でCGデザイン指導を担当。
現在はクリエイター系の全学科を統括。
取材後記
本文でも登場する、毎年更新を重ねるオリジナル教科書の質の高さは特筆すべきだ。
また、同校を巣立ち業界で活躍する卒業生たちは自らステップアップのために何をすべきか考え、積極的に行動していくタイプの人が多いという五十嵐先生のお話をここに追記しておきたい。
学校紹介
日本電子専門学校

東京都新宿区百人町1丁目25-4
TEL 03-3363-2985
https://www.jec.ac.jp/

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