2025年の日本人の総旅行人数(延べ人数)は3億2910万人、訪日外国人旅行者数も4200万人を超え、コロナ禍を上回る活況を呈している旅行・ツーリズム業界。今や業務内容は、旅行手配からイベント運営、地域創生支援まで広がっているという。JTBツーリズムビジネスカレッジの鈴木良照常務理事に業界の現状と展望について伺った。
インバウンド旅行も絶好調で業界全体の成長チャンスが到来!
コロナ禍を乗り越え、ツーリズム業界は大きな飛躍へ!
―旅行・ツーリズム業界の現状についてお聞かせください。
旅行・ツーリズム業界はコロナ禍後の急回復を経て、展望はかなり明るい状況にあります。
2025年の日本人の総旅行人数(延べ人数)は3億2910万人となり、コロナ前の2019年を上回りました。さらに好調なのは、ご存じの通り、インバウンド旅行です。2025年の訪日外国人旅行者数は4200万人を超え、こちらは年間過去最多を更新しています。日本政府は2030年に訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円という目標を掲げており、旅行・ツーリズム業界にとって、非常に大きな成長チャンスとなっています。
キャリアの可能性も大きく広がっています。ひと昔前は旅行会社といえば、「チケットの手配」や「企画旅行(パッケージツアーなど)の販売」が中心だと思われがちでしたが、いまは違います。ツーリズムは、個人旅行だけでなく、地域、自治体、企業、学校、イベント、スポーツ、エンタメまで巻き込んだ「交流を創り出す産業」です。推し活、グルメ、スポーツ観戦など自分の趣味を起点に、仕事が無限に広がっています。
―旅行・ツーリズム業界の仕事について、改めて教えてください。
私はツーリズム産業の本質を「交流」と「移動」の2つで説明しています。人は交流するために移動します。あるいは移動を伴いながら交流をします。私たちの仕事は、その交流を生み出す機会をつくり、移動と体験をトータルで支えることです。仕事は本当に幅広いです。旅行会社でのカウンター対応、法人営業、ツアー企画、ツアー添乗、会議・イベント実施支援、スポーツ大会の運営支援、地域の観光戦略コンサルティング、観光案内所の運営、宿泊・ブライダル手配など、数え始めたらきりがありません。
そんな新たな旅行・ツーリズム業界の現場で求められるのは、「旅行業務取扱管理者」などの資格だけではありません。業界企業へのアンケート結果によると上位は、コミュニケーション力、チームワーク・協調性、問題解決力といった汎用的な力でした。加えて、マーケティングやAIを含むデジタルの専門知識の重要性も高まっています。もちろん、私は資格を否定しているわけではありません。ゴールは資格を取得することではなく、即戦力として活躍し続けられる能力を着実に身につけること。その目的を間違えないでほしいです。
―専門学校で旅行・ツーリズム分野を学ぶ強みとは?
一般論としては、大学は学術教育、専門学校は職業教育を行う機関です。優劣ではなく設計思想が違います。専門学校の強みは、卒業後にすぐ活躍できる実践力を短期集中で身につけられることです。例えば、地方創生の仕事をするならば、理想像を描くだけでなく、「どこに交渉するのか」「どう企画を実現させるか」「現場をどう回すのか」といった実務スキルが必要です。この部分を担う人材が現場では不足しています。
そこで、JTBツーリズムビジネスカレッジでは、企業実習など実践の比重を高めています。知識は座学だけでは身につきません。実習や演習で経験してはじめて、仕事で役立つ力になります。学生時代から旅行・ツーリズム分野のリアルな課題解決に取り組むことで、業界の即戦力となるための「スキル・知識・マインド」が身につきます。教職員も業界経験者が多く、ビジネスの現実や厳しさも含めて伝えられる。ここが大学との大きな違いだと思います。
業界の有名企業への就職実績は要チェック!
―旅行・ツーリズム分野の専門学校を選ぶ際のポイントとは?
私が専門学校選びのポイントを3つ挙げるなら以下になるでしょう。
1つ目は「カリキュラム」。旅行・ツーリズム分野への就職を見据えて、何が学べて、どのような力がつくのか。資格取得も含めて、卒業後にどう働けるようになるかイメージできる内容かをチェックしましょう。
2つ目は「学校の雰囲気」。オープンキャンパスで、教職員と学生との距離感、相談のしやすさなども確認を。クラス担任制を導入するなど、「学生の夢に伴走する仕組みや環境」があるかも重要です。
3つ目は「就職実績・進路の広がり」です。行きたい会社や業界があるなら、その就職実績があるか。志望がまだ曖昧な方でも、進路の選択肢の広さ、業界での強みを発揮している企業への就職実績を見ておくといいでしょう。JTBツーリズムビジネスカレッジは、卒業生の約95%がツーリズム業界に、さらに約45%はJTBグループに就職しています。
―旅行・ツーリズム業界を目指す高校生、保護者へメッセージを!
高校時代に将来の夢を明確に決められないのは当然だと思います。そんなときは、「好き」を起点に将来を考えるのがおすすめです。旅行が好き、スポーツが好き、ライブや推し活が好き、食が好き、地元が好き―それらはすべて旅行・ツーリズム業界の仕事につながります。
また、旅行・ツーリズムを仕事にしたいなら、とにかく外に出て、人と会って、さまざまな体験をしてほしい。小さな遠出でも立派な旅です。そこで何に感動したのか、何が不便だったのか、どうすればもっとよくなるのか。経験を振り返るだけで、「考える力」が育ちます。
インターネットは便利ですが、現地の空気や人の表情、心の動きは、リアルでしかわかりません。ツーリズムは〝人の心〞に寄り添える仕事です。人が喜ぶことを自分の喜びにできる人には、これほどやりがいのある仕事はないと思います。
旅行・ツーリズム分野のポイント
1 何が身につくカリキュラムか?
何が学べて、どんな力が身につくのか。資格も含めて、卒業後までイメージできるかをチェックしよう。
2 学校の教職員や学生の雰囲気
オープンキャンパスで、教職員や学生の距離感、相談のしやすさ、キャリア支援体制などを確認しよう。
3 就職実績・進路の広がりも重要
行きたい会社や業界があるなら、その就職実績があるか。志望がまだ曖昧ならば、旅行・ツーリズム業界での進路の選択肢の広さを調べておくといいだろう。
この質問に答えてくれた人



学校法人国際文化アカデミー






常務理事 法人統括本部長
鈴木 良照 先生
1990年に日本交通公社(現JTB)に入社後、浜松支店、JTBオーストラリアを経て、2015年より人事部JTBユニバーシティ運営事務局長として、人材育成・教育を担当。2023年より学校法人国際文化アカデミー常務理事として、学校経営およびカリキュラム等の学校改革を担当。