ChatGPTに代表される生成AIが登場し、AI活用は一気に一般企業にも広がっている。製造工場や物流拠点の自動化、自動運転、カスタマーサービスなど、AI活用の現場は広がっている。現場では、機械学習やデータ分析などのAI技術を活用するエキスパートたちが活躍している。
AIスペシャリスト人材の需要と今後の展望、さらにこの分野の人材育成の現状について、情報科学専門学校教務チームの髙橋綾先生に話を伺った。
AIシステムを構築できるエンジニアへのニーズはますます拡大中!
世界を変えていくAIスペシャリストを目指す
―AI人材の需要と今後の展望について、お聞かせください。
AIによってさまざまな業界で仕事の効率化が進んでいます。現場で求められるAI人材については、さまざまな視点で語ることができます。
まず、「AIをつくる人材」「AIを使う人材」に分けて考える必要があります。「AIをつくる人材」とは、一般的にはコンピュータが自ら学習して予測や判断を行う「機械学習」の技術を用いて、企業の課題解決や業務効率化を実現できるAIエンジニアを指します。これは、ChatGPTのような生成AIを開発する研究者ではなく、工場の不良品検知システムなどをつくる「特化型AI」の開発者と考えていいでしょう。この定義は難しいのですが、いわゆるシステムエンジニアが主に既存システムの保守やリプレイス(入れ替え)を担うのに対し、AIエンジニアはまったく新しいシステムを開発する仕事を任される傾向があります。
AIエンジニアは現在、物流業界や製造業界で高いニーズがあります。特に自動車業界では、自動運転技術などでもAIを活用することから、多くの求人があります。
一方、「AIを使う人材」は、AIを活用して日々の業務を効率化できる人材です。さまざまなプロンプト(命令)を駆使して、ビッグデータの活用方法などを探ります。このスキルもあらゆる業界で求められていますが、AI活用のプロを目指すならば、プロンプトの理解を深めるためにプログラミング言語を学んでおくと強みになるでしょう。
私が勤務する情報科学専門学校では、AI活用からAIモデル生成までこなせる高度AIスペシャリストを育成しています。プログラミングの技術を駆使して、特化型AIモデル生成やビッグデータ解析を自らの手で行った経験は、今後の社会でますます大きな強みになるでしょう。
―AIの専門学校では、どのような教育を提供していますか?
AIを動かすためのプログラミング、機械学習や深層学習(ディープラーニング)、統計学、データサイエンスなどを幅広く学びます。
例えば、本校の実践AI科では4年制のカリキュラムで、最新のAI技術を実践的に学んでいきます。1・2年次にPythonに代表されるプログラミング言語や基礎的なITスキルを養成し、3・4年次は「AIシステムコース」「データサイエンスコース」に分かれて、専門知識を深めていきます。AIシステムコースでは、顧客ニーズに合わせたAIモデルの生成を学び、AIエンジニアを目指します。一方、データサイエンスコースでは、ビッグデータ解析などの専門知識を身につけ、データサイエンティストを目指すことができます。
企業のリアルな課題解決に取り組む実習なども豊富
―AIを学ぶ上で大学と専門学校の違いはありますか?
一般的に大学は「研究」をする教育機関だと考えられています。そのため、独自のAIをゼロからつくってみたい人などは大学を目指すべきかもしれません。
これに対し、専門学校は実践的な技術習得のための教育機関です。そのため手を動かしてものづくりをする機会が多く、その経験がそのまま社会で役立ちます。産学連携の授業も多く、企業のリアルな課題解決に挑む実習なども豊富にあります。
本校の実践AI科では、4年間で実践的な経験を積み上げ、就職する頃には、「社会人5年目レベル」のスキル習得を目指しています。つまり、IT企業で4年間の実務経験を積んだ社会人と同等レベルで新生活をスタートすることを目標にしています。
社会で役立つAI活用を学べる環境があるか
―AI分野の専門学校を選ぶ際のポイントとは?
1つ目は、AIを使ったものづくりを学べる環境があるか。専門学校で学ぶ以上、社会で役立つAI活用を学べるカリキュラムになっているかがポイントになるでしょう。
2つ目は、産学連携の機会が豊富にあるか。専門学校在籍中に、企業の仕事現場を経験できるプログラムなどをチェックしましょう。
3つ目は、やはり就職実績です。今やAI人材は幅広い業界から注目されています。憧れの有名企業に入ることも夢ではありません。もし目標となる企業があるならば、そこへの就職実績がある学校を選ぶと夢に近づけるでしょう。
―AI人材を育成するための独自の工夫はありますか?
やはり本格的なAI活用を学ぶのは簡単ではありません。そこで、本校では「ユニット制」の授業を採用しています。例えば、実践AI科の1年次には、「基本情報技術者試験」に向けて、1〜3限まで週5日同じ授業を配置して、資格の学習を通じてIT基礎力の定着を図ります。興味のある科目にここまで集中できる環境は、大学にはなかなかないと思います。
―AIに興味のある高校生や保護者にメッセージを。
スマホの顔認証やAIメイクアプリ、生成AIの仕組みなどに興味がある人ならば、大いに楽しめる分野だと思います。Pythonなどプログラミング言語の知識、ゲーム制作などの経験がある人なら、すぐに授業にも馴染めると思います。もちろん、プログラミング未経験者も大歓迎です。まだ世の中にないAIモデルや活用法を一緒に創造しましょう!
AI分野のポイント
1 AIを使ったものづくりを学べる環境
社会実装を想定したAI活用のノウハウを学べるカリキュラムになっているか。
2 企業連携の機会が豊富にあるか
AIを活用した企業の課題解決に挑戦するなど、産学連携の実践的なプログラムの有無を確認しよう。
3 卒業生の就職実績をチェック!
幅広い業界から注目されるAI人材。有名企業に入ることも夢ではない。憧れの企業への就職実績がある学校を選ぶと夢に近づける。
この質問に答えてくれた人

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学校法人岩崎学園 情報科学専門学校







情報科学専門学校
教務チーム専門官
髙橋 綾 先生
富士通SSL(現:富士通)にて10年ほどシステムエンジニアおよびプロジェクトマネージャーとして上流工程からシステム開発に関わる。2010年に情報科学専門学校奉職、プログラミングやシステム開発の授業を担当。2019年から実践IoT科担当、2023年に学科長就任。2026年度より実践AI科も担当。