人材不足が続く医療事務 医療現場を支えるIT技術者のニーズも高まる

新型コロナの影響もあり、医療に関連する仕事の重要度はますます高くなっている。

医療事務をめざせる専門学校は以前から少なくないが、学ぶ内容や就職先の状況など最新の状況はどのようになっているのだろうか。

IT化が進む医療現場に対応した技術者の養成も行っている横浜医療情報専門学校から、医療事務科医療IT科それぞれのリーダーである鈴木和江先生平塚智文先生にお話を伺った。

専門的な知識を持った医療事務やIT技術者の活躍の場はますます広がっている

医療事務の求人は好調
資格取得が就職に有利

―医療事務の現状と、専門学校での学びについて教えてください。

鈴木先生(以下敬称略) コロナ禍でも、医療事務の人材需要はまったく減っていません。

本校の卒業生は正社員として就職をしますが、たとえば結婚などで一度仕事を離れた後も、経験を買われ、復職するなど柔軟性がある職種といえます。

私たちに身近な健康保険証の扱いには、実はさまざまなルールがあるため、まずはこれらの元となる法律的な知識を身につけることが重要です。また、現場では医師や看護師をはじめ医療従事者と仕事をしますので、専門用語などもある程度理解しておく必要があります。

 

―医療事務の資格について教えてください。

鈴木 医療事務の基本的な知識を証明する資格としては「医療秘書技能検定」と「診療報酬請求事務能力認定試験」が代表的で、本校でも重視しています。とくに後者は保険制度の理解が求められるため、就職の際にも有利です。

そのほかにも「医事コンピュータ技能検定」「調剤事務管理士」等の資格があります。

 

医療現場のIT化が進む中
技術者の存在が大きくなっている

―医療ITとはどのようなものでしょうか。

平塚先生(以下敬称略) 電子カルテをはじめ、医療現場ではPCなどのIT機器を使う機会が急速に増えています。これらは医療現場の業務にとって画期的な便利さをもたらすものです。

しかし、その一方で医療従事者は操作に困ることも多く、サポートをする技術者が求められてきています。また、医療系システムを開発するメーカーに勤める技術者にも、医療の知識は不可欠といえます。

―専門学校での医療IT分野の学びや資格について教えてください。

平塚 本校では4年制でしっかりと学び、医療系に特化した情報技術者教育を行っています。

1年次はITの基礎を中心に、2年次から医療系の知識を徐々に学びます。そして、アプリを作る経験を経て、4年次には医療やIT系の卒業研究に取り組みます。

めざす資格は「医療情報技師」(病院や医療情報システムを扱う企業で重視されている資格)や「診療情報管理士」(電子カルテ上の情報を適切に管理・活用するために必要な知識を認定する資格)です。診療情報管理士を置く病院は保険制度の上で優遇されるため、採用条件にこの資格を必須としている病院もあります。

また、卒業時には「高度専門士」という称号が与えられます。これは大卒の「学士」と同等の扱いとなります。

 

―卒業後の進路についてはいかがでしょうか。

鈴木 大手の総合病院大学病院では、採用時に新卒であることを重視する傾向が強いので、積極的なチャレンジを勧めています。そのほかに、大手の調剤薬局医師事務作業補助者(医師が行う業務のうち事務的なものをアシストする職種)も増えてきています。

平塚 医療ITでは医療情報システム系の企業への就職が多い傾向です。

また、医療IT科の卒業生は大卒の平均よりも初任給が高いのが自慢です。入社後の研修で学ぶ知識や技術がすでに身についていると、多くの企業から認められているからだと思います。

 

―学校選びのポイントを教えてください。

鈴木 常勤教員が充分にいるかを見るとよいと思います。日頃から学生をよく見ている教員がいることで、学習面だけでなく、就職活動時にも適切にアドバイスをすることができます。

また、PCスキルが確実に身につく環境かも確認するとよいでしょう。本校では1人1台専用のノートPCを貸与して、卒業時にはプレゼントしています。これはコロナ禍でオンライン授業を行うときにも大変役立ちました。

 

―これらの分野への適性や、向いている学生さんの傾向について教えてください。

平塚 医療IT分野では、自分で工夫しながら作ってみようという意欲や、問題に対して、原因を考えて対処しようとする人がよいのではないかと思います。

鈴木 医療事務では、コミュニケーション力や、素直であることが大切だと思います。何でもまずは受け入れてやってみよう、という姿勢のある学生が伸びていきますね。

 

医療事務・医療IT分野のポイント

1 資格取得サポートの体制を知る

就職試験にも、その後の業務にも資格が重要。取得のためのサポート体制を確認。

2 学生に合った就職指導をしているか

充分な常勤教員がいるなど、学生一人一人をよく見きわめた就職アドバイスを行っているか。

3 PCスキルが身につく環境かどうか

IT化が進む医療現場でPCスキルは必須。そのためのトレーニングができる環境が整っているか確認。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 岩崎学園
横浜医療情報専門学校
医療事務科リーダー 鈴木 和江 先生
大学病院勤務時に医療費の請求を行い、事務部門における病院経営の重要さを体感。
その後、調剤薬局等の立ち上げにも携わった。講義では医療事務分野の奥深さも伝えている。
学校法人 岩崎学園
横浜医療情報専門学校
医療IT科リーダー 平塚 智文 先生
臨床検査技師・医療情報技師・システムエンジニアと様々な側面を持つ。医療とITの両方と現場を知る専門家として医療情報学や基礎医学などの講義をしている。
学校紹介
横浜医療情報専門学校

神奈川県横浜市港北区新横浜2-4-10
TEL 0120-423-114
https://iscs.iwasaki.ac.jp/

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