理論は「わかる」まで、技術は「できる」まで。就職後に役立つ多彩な知識・技術を身につけよう!

文部科学省が2020年12月に発表した『学校基本調査』によると、2020年に専門学校の美容科に入学した学生数は、5年ぶりに1万8千人台を記録した。カット技術のほか、メイクやネイルなどを学べる専門学校も多く、これからの美容・理容業界を担う人材育成に向けた望ましい指導について、学校法人国際文化学園平野徹理事長桑田篤志所長に伺った。

まずは基本を習得し、専門特化したスキルを身につけていく

幅広い技術を習得することで 将来の可能性が広がっていく

―理容・美容分野における専門学校の役割についてお聞かせください。

専門学校は学生の国家試験合格が目的であることは確かですが、資格があっても社会で活躍できるとは限らず、社会で役立つ知識・技術が確実に身につく環境であることが重要です。

例えば本校では、カラーや着付、メイク、ネイルなど、カット技術以外の技術の習得にも力を入れています。社会に出て何が自分の得意分野になるかは未知数だからこそ、将来の選択肢を増やし、可能性を広げることを重視しています。

カット+α”のベースとなる技術があれば自信になりますし、貴重な人材として活躍の場が広がり、周囲からの期待も信頼も高まるはず。業界での定着にもつながります。

もちろん、幅広いスキルは浅く広くではなく、基礎を深く徹底的に身につけることが大切。スタイリストの数だけ独自の創意工夫や進化系のアレンジがあっていいのですが、その原点には「」となる基本があってこそ。

「見よう見まね」での応用ではなく、基本こそが大切なのです。「型破り」は、基本の型を熟知しているからこそ成立するのであり、適応力の原点にある基本を身につける場所が専門学校です。

美容理容の主な仕事分野

―専門学校での授業についてお聞かせください。

理容・美容分野の専門学校での授業時間には規定がありますが、各校の方針次第で実際の授業時間数は変わります。

最低限の授業数で卒業要件を満たす学校もある一方で、本校では国家試験には関係のない内容も選択授業などとして加え、一般的な専門学校の約1・3倍を超える約2100時間の授業を2年間で行っています。

本校は、月曜日から金曜日まで毎日6コマの通常授業のほかに課外授業もありますし、多くの学生が朝も放課後も自主練習に励んでいます。決して「楽な」学校ではありませんが、それを志望理由にする受験生も少なくありません。

技術の習得で大切なのは、「わかった」気になって終わらせず、確実に「できる」まで練習を重ねることです。例えば着付の授業が年間で10回の学校と1回だけの学校を比べた場合、表面上はどちらも「着付の授業も行っている」ことになりますが、成果には大きな差が生まれるはず。

数をこなすことで確かな技術につながると考えれば、学校見学などの際には、ぜひ実際の時間割を確認させてもらうといいでしょう。

壁にぶつかることも想定して
覚悟を決めて学んでほしい

―美容師になると、どのようにステップアップしていけますか?

サロンでは、数年間のアシスタントを経てスタイリストになり、やがて店長になるキャリアパスが王道です。

ただし、店舗によってそのスピードは違い、相性や向き不向きも関係します。「憧れ」と「自分にできること」の違いに直面し、「したい仕事」と「実際に与えられる仕事」がマッチせずに悩むこともあるでしょう。

実際、有名店や企業として成熟した店舗では役割分担が明確なことも多く、希望の働き方ができずに技術や感覚が鈍ることを恐れて転職する人もいます。小規模店舗なら希望の業務を担当できるチャンスが多いからです。

一方で、最初から具体的な仕事内容にはこだわらず、給与や経営状況の安定感を重視する人もいます。つまり、大切なのは何を重視し、何を優先させるかということです。

こうした多くの物差しの存在を認識した上で、就職後のミスマッチを防ぐのが、各校の就職支援プログラムやクラス担任制度です。

特に、学生にとって身近な存在としてクラス担任を配置する学校は多くありますが、例えば本校では、1年次が1クラスに3名、2年次が1クラスに2名の専任教員による複数担任制度を採用しています。

加えて、就職支援の職員もいますし、卒業生からアドバイスを受けられる機会も設けることで、より多くの目で学生をサポートしています。ですから、学校生活でのサポート体制も専門学校選びではチェックしてみるといいでしょう。

 

―最後に、高校生へのメッセージをお願いします。

最初は「好き」「楽しそう」という気持ちでも構いませんが、それだけでは続かない厳しさがあるのも確かです。本気で勉強するからこそ壁にもぶつかり、その先にようやく手応えやプロとしての楽しさが見えてくるものですので、ぜひその境地までたどり着いてほしいと思います。

意識を高く持って遅刻や欠席をなくし、がむしゃらに、そしてたくましく学びながら知識・技術の習得に努められれば、社会に出てからも高く評価されていくはず。それによって業界に定着し、キャリアアップしていけることにやりがいや楽しさを見出していってほしいと思います。

 

理容・美容分野のポイント

1 「カット技術+α」を身につける

メイクやネイルなど、さまざまな切り口でお客様の「美」に貢献する技術を身につけたい。

2 「わかったつもり」はNG。「できる」まで数をこなす学校か

技術の習得には反復練習が何よりの近道に。

3 適性に応じた支援体制をチェック

サロンに応じた“向き不向き”を客観的に指摘してもらえる就職サポートの有無を確認しよう。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 国際文化学園
国際文化理容美容専門学校
渋谷校/国分寺校
平野 徹 理事長
2002年理事長に就任。1993年竣工の渋谷校1号館以降すべての校舎建設に携わる。2017年「ベストワールドアカデミー(ICD)」受賞。
国際文化教育総合研究所
桑田 篤志 所長
専門学校で学生指導を行ってきた経験を活かし高校教員からの依頼による進路全般講演、専門学校講演、教員研修会などを年間50校以上で行っている。
学校紹介
国際文化理容美容専門学校

渋谷校
東京都渋谷区神泉町2-2
TEL 03-3462-1447

国分寺校
東京都国分寺市南町3-22-14
TEL 042-321-0002

https://kokusaibunka.ac.jp/

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