私たちは現在、インターネットやAI(人工知能)技術、クラウド環境などを使ったITサービスを日常的に利用している。これらを開発しているのがプログラマやシステムエンジニアと呼ばれる職業の人々だ。
こうしたIT人材を目指すには、どのような分野を学べばいいのだろうか。
日本電子専門学校エンジニア教育部長の大川晃一先生に話を伺った。
コロナ禍でもIT業界は絶好調。一般企業でもIT人材を採用する動きも
ITを駆使して世の中を便利にする仕組みをつくる
―情報処理・IT業界の現状についてお聞かせください。
インターネットやコンピュータのシステムを駆使して、世の中を便利にする仕組みをつくるのが情報処理・IT業界の仕事です。
モバイルアプリ、Webサービスなどのソフトウェア開発、ネットワークやサーバ構築、ネットワーク上のセキュリティ運用、AI(人工知能)を使ったデータ分析など、仕事は多岐に渡ります。
業界全体としては、人手不足の状態が続いています。コロナ禍で一般企業が採用を絞るなか、IT企業の求人数はむしろ増加傾向にあります。在宅ワークができる職種も多く、「働き方改革」も進んでいます。
国策として取り組むDX(デジタルトランスフォーメーション)、AI化、セキュリティ強化などのキーワードは、すべてこの情報処理・IT業界の人材が支えています。
- ■SEとプログラマの業務
―情報系の専門学校では、どのようなジャンルを学ぶのでしょう?
日本電子専門学校では、プログラマ、システムエンジニア(以下SE)という職種を想定して、カリキュラムを構成しています。
まず、プログラマ養成を目的とする「情報処理科」では、幅広いプログラミングの技術を学びます。モバイルアプリ、Webアプリのプログラミングに加え、データベースやAIのプログラミングも学ぶことができます。
もちろん、プログラミングの知識ゼロから挑戦できます。
一方、SE養成を目的とした「情報システム開発科」では、業務システムの設計技法やクラウド環境を活用したWebシステム開発の技術と知識を学ぶことができます。
こちらは、お客様の課題を解決するためのシステムを設計する手法を中心に学習していきます。プログラミングの技術修得はもとより、ソフトウェア、ハードウェア等の幅広い知識を持つエンジニアを育成していきます。
プログラミング修得に文系・理系の差はない
―専門学校で初めてプログラミングに触れる学生も多いと思います。適性はありますか? また、理系科目が苦手でも大丈夫ですか?
高校の先生からよく受ける質問ですが、まず文系・理系はまったく関係ありません。プログラミングを学ぶにあたり、文系だから苦労することはほぼないでしょう。
むしろ、プログラミング言語の表記の多くは英単語なので、英語に苦手意識があると最初は大変かもしれません(笑)。
プログラミングとは、簡単に言うとコンピュータに指示を与える作業です。なので、私はむしろ文系のほうが向いているとも思っています。
また、適性については、ITサービスに主体的に興味を持てるか、でしょうか……。「自分でもやってみようかな」と思える人は、情報処理・IT系に向いていると思います。
―情報処理・IT系を学べる専門学校を選ぶ際のチェックポイントを教えてください。
やはりその学校が取り組んできた情報系の教育の歴史を見てほしいと思います。歴史が長ければ、カリキュラム、設備、教員などにノウハウが蓄積されます。
歴史がある学校は、卒業生の業界内ネットワークも財産になると思います。
次にカリキュラムも要チェックです。今はモバイルアプリに特化したコースを設置するなど、特徴がある学校が増えています。
自分の将来像が明確なら、具体的なスキルが身につく学校・コースを選ぶべきです。
さらに、業界経験のある教員が在籍しているかも重要です。日本電子専門学校の情報処理・IT系学科では、業界での実務経験が豊富な教員が多数在籍していますので、教員を通じて業界の最新情報を得られれば、将来の強みになるのは明らかです。
―卒業後に想定される進路について教えてください。
多くの先輩は、いわゆるSIer(エスアイアー)と呼ばれるシステム開発会社に就職して活躍しています。専門学校からIT業界の大手企業に就職することも可能です。
―情報処理・IT分野を目指す高校生と保護者にメッセージをお願いします。
自らが手がけたITシステムで社会の課題を解決し、多くの人から喜んでもらえるやりがいのある仕事が待っています。
知識ゼロでも理系科目が苦手でも問題ありません。ますます社会的ニーズの高まる情報処理・IT業界にぜひ飛び込んでみてください。
情報処理・IT分野のポイント
1 その学校のIT教育の歴史
各校の情報系の教育・研究の歴史が問われる。歴史が長ければ、カリキュラム、設備、教員などにノウハウが蓄積される。
2 特徴的なカリキュラムはあるか
自分の将来像が明確なら、具体的なスキルが身につくカリキュラムのある学校・コースを選ぼう。
3 業界経験のある教員が在籍しているか
IT業界での実務経験がある教員も要チェック。業界の最新情報を得られれば、将来の強みになる。
この質問に答えてくれた人
検算が好きなど、物事の成り立ちをしっかり検証することが好きな人は特に向いているというお話が印象に残った。
文系の高校生でこの分野に興味を持つ人もぜひチャレンジしてほしい。
→『進路の広場』で日本電子専門学校を見る
エンジニア教育 部長
大川 晃一 先生
大手IT企業で開発業務に従事したのち、日本電子専門学校へ教員として転職。
情報系学科で国家試験対策の授業や、モバイルアプリ開発、Webシステム開発の授業を担当している。