建築は芸術的センスと工学的スキルの交差点 文理融合の多彩な学びで建築士資格を目指す

「衣食住」の「住」を生み出す建築分野

建物がなければ人は生きていけず、その内部空間を快適にするインテリアデザインもまた、人々にとって重要な意味を持つものといえる。

こうした建築物やインテリアのプロフェッショナルとなるために必要な学びについて、日本工学院八王子専門学校山野大星副校長に伺った。

ステイホーム・在宅ワークの浸透でインテリア業界も活性化

高齢化が進む建築業界では 若い力が求められている

―まずは建築業界の現状からお聞かせください。

建築業界は、高度経済成長期につくられた建築物の老朽化に伴う補強需要の高まりや、災害に備えた建築需要の高まりが著しく、今後も50年程度は需要が絶えることはないといわれています。

しかし一方で、建築業界は高齢化が進み、人手不足が深刻です。次代を担う若者への期待は高く、建築士法の改正によって一級二級建築士の資格取得者を増やすことが業界の総意となっています。

建設現場に目を向ければ、従来の単純労働はロボットなどの先端技術に代替される可能性が高いものの、ゼロからの設計は引き続き生身の人間の役割です。設計は風土や日照、風の当たり方といった特性を考慮する必要があり、建築物は大量生産ではなく「一品生産」が基本だからです。

土地固有の条件をパズルのように解きながら設計する必要があり、それだけ多くの建築士が必要なのです。

今後は、町医者のように地域に根を張り、設計から改修までワンストップで対応できる建築士のニーズが高まることも考えられます。また、コロナ禍においてステイホームとテレワークが推奨されたことで、インテリア業界も活況です。今後も、自宅での仕事のしやすい環境作りに向けて、さらなる需要が期待できます。

 

―専門学校で建築を学ぶ意義についてお聞かせください。

建築インテリアは、文系と理系が融合した分野です。言わば芸術的な感性・センスと、技術的・工学的なスキルの交差点であり、好奇心と積極性を大切にして、何にでもチャレンジする意識が重要です。

また、専門学校で建築を学ぶ1番のポイントは、プロになるために必要な技術に特化して学べることにあります。

入学後は、2年制では二級建築士の受験資格取得を目指し、4年制では一級建築士を目指すカリキュラムが基本です。2年制卒業でも十分に活躍できますが、本校ではさらに学びを深めようと4年制に編入する学生が増加傾向にあります。その場合、2年制卒業後のプラス2年間で二級建築士の資格を取得可能なため、就職活動ではアドバンテージになります。

建築士法の一部を改正する法律」が施行(令和二年三月)され、専門学校卒業後直ぐに一級建築士が受験できるようになり、二十代前半で合格する卒業生が複数名おります。

なお、建築士ではなくインテリアデザイナーを目指す場合でも、主な勉強内容は建築士養成のためのカリキュラムと共通しています。ただ、工学的・技術的な学びとデザイン面での学びの配分が異なり、より内装設計に重点が置かれます。

 

多彩なフィールドで活躍できる未来が待っている

―専門学校を選ぶ際のポイントを教えてください。

まずは実習環境。本校ではキャンパス内で実際に家を建てる実習もあります。資格取得だけが目的ならば、製図板と教科書だけで十分ですが、実体験をとおした学びによって、社会での実践力を高められる環境であることが重要です。

また、建築系大学への編入学や大学院への進学をはじめ、スーパーゼネコンから小規模な設計事務所まで、就職実績は目安になると思います。難関企業への就職実績は学校の実力を示すことは確かです。

ただし、すべての学生が大手を目指すわけではなく、本校でもそういう指導はしていません。地域密着型の工務店をはじめ、適性に合わせた就職指導・支援が行われていることが大切です。

その他、ドローンでの測量や3Dプリンターを使った模型作りから、「CAD」に代わる「BIM」という設計ソフトや、ゲームソフトの開発などにも用いられる3D映像技術の導入など、先端技術を駆使した学びの機会も大事なポイントです。

さらに、学生の作品集や、建築に関する教員の著書、実務経験のある教員の設計実績なども「その学校で何を学べるか」の参考になるでしょう。

 

―建築・インテリア分野を目指す高校生にメッセージをお願いします。

建築の仕事は、その成果が後世に残るやりがい十分な仕事です。「建築×ショッピング」「建築×スポーツ」など、幅広い業種・業態とリンクさせながら、戸建てや集合住宅から、商業施設、スポーツ施設などまで、さまざまな分野で知識・技術を活かすことができます。

また、官公庁や自治体で技術職の公務員として活躍することもできますし、鉄道事業者や電力会社、ガス会社などでも、建築技術者の採用枠があります。

さらには、世界的な建築家として活躍するチャンスもありますので、とても夢のある世界です。もちろん、地域密着型で人々の快適な住生活を支えることも、意義のある働き方です。

ただ、在学中は進路を決めつけず、バランスよく学んでほしいと思います。こだわりも大切ですが、お客様あっての建築ですので柔軟性も大切です。

多くの人とコミュニケーションを重ね、かつ、多様な学びに触れながら広い視野と臨機応変な対応力を養うことが、お客様のニーズを先読みする創造力にもつながっていくのです。

 

建築・インテリア分野のポイント

1 実習環境をチェックする

実際の家作りができるくらい充実した実習の環境がある学校ならば、様々なモノ作りが体験できる。

2 先端技術を駆使した学びの機会

BIM(コンピュータによる設計)、3Dプリンターでの模型作り、ドローンでの測量など、新しい技術が学べるか。

3 就職・進学先の多様さがあるか

ゼネコンや設計事務所のほか、公務員やインフラ関連企業など、様々な進路があると安心。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 片柳学園
日本工学院専門学校
日本工学院八王子専門学校
理事 副校長 山野 大星 先生
1985年千葉大学工学部建築学科卒業。一級建築士。
これまで全国専門学校建築教育連絡協議会の会長などを務めたほか、日本工学院八王子専門学校ではテクノロジーカレッジ長を経て、現在は理事と副校長を兼務。
取材後記
建築士法の改正など、色々な業界の最新状況を分かりやすくお話しくださった山野先生。
「技術を徹底的に学べるのが専門学校の良いところ」という一言がとても印象に残った。
学校紹介
日本工学院専門学校

東京都大田区西蒲田5-23-22
TEL 0120-123-351

日本工学院八王子専門学校

東京都八王子市片倉町1404-1
TEL 0120-444-700

https://www.neec.ac.jp

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