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人工呼吸器や透析監視装置など、医療現場で扱う機器がますます高度化している。こうした背景もあり、最先端の医療機器を扱うプロである臨床工学技士を養成する専門学校が増えている一方、その業務内容についてはあまり知られていないのが現状だ。
そこで、東京電子専門学校臨床工学科の佐藤安寿先生に、臨床工学技士の業務内容や専門学校での学びについて伺った。
高度な医療を陰で支える縁の下の力持ち
知識と経験に基づく多岐にわたった仕事で医療現場を支える
―まずは臨床工学技士の仕事内容からお聞かせください。
臨床工学技士は医師の指示のもとで人工心肺、人工透析、人工呼吸器などの生命維持管理装置を扱うほか、あらゆる医療機器の操作および保守点検を主な業務としています。
体温や心電図、呼吸状態をまとめて管理する生体モニターのチェックや緊急対応における除細動装置やエマージェンシーキットの準備と救命など、医療機器のプロフェッショナルとしての仕事は多岐にわたり、医師と同時に現場に急行することも多くあります。
臨床工学技士は、臨床工学技士法発足30数年の比較的新しい国家資格ですが、生活習慣病などの疾患が増える現在、ますます必要とされている仕事です。
―専門学校と大学との学びの違いについてお聞かせください。
基本的にどちらも資格の取得を目標にしているので、単純に3年で学ぶか4年で学ぶかの違いだと思います。
大学では時間をかけてより深い知識が学べ、さらに指導教員のもと、より専門的に研究することができます。これに対し、私が勤務する東京電子専門学校では国家試験に向けて、全学生が同じカリキュラムで学びます。そういった点では専門学校のほうがより実践的といえるかもしれません。
給与面では大学卒のほうがやや優遇される傾向にありますが、資格があるからといって即戦力になるわけではなく、最低でも3年の下積みは必要な仕事なので、資格取得に注力し、1年早く現場に出て1年多く経験を積めることは専門学校で学ぶ大きなメリットだと考えます。
―専門学校での学びのステップについて教えてください。
東京電子専門学校では、1年次の前半は数学、物理などを学び、工学の基礎を身につけます。夏季休暇中には病院見学を実施。現場での仕事を体験することで、医療の最前線で働くやりがいと厳しさを実感してもらいます。1年次の後半には、病院見学で得た学びを実践していくための医療系の専門基礎科目の学習をスタート。
2年次には実際の医療機器を使用した学内実習を中心に、「第2種ME技術実力検定」の合格に向けた対策授業も行います。3年次には、国家資格取得の要件となっている、30日間にわたる病院実習を通じて実践力を養うとともに、本格的に国家試験対策も進めていきます。
医師や看護師と連携するコミュニケーション力も必要
―臨床工学技士に向いている学生の傾向についてお聞かせください。
患者さんの生死にかかわる現場での仕事なので、臨機応変な対応が必要になります。そのため、周囲の医師や看護師とうまく連携できるコミュニケーション力やレスポンスの早さが求められます。また、患者さんに安心感や親しみやすさを与える明るい人柄も大切です。
理系科目については基本的な知識があれば十分ですが、患者データを処理する機会は多いので、数字と計算には慣れておくべきだと思います。機械への苦手意識も解消しておきましょう。
なにより大事なのは、臨床工学技士になりたいという強い意欲と好奇心です。将来のビジョンを明確に持ち、積極的な姿勢で勉強に取り組んでほしいです。
医療機器の本質を学ぶ環境と
実践経験豊かな教員によるサポート体制がポイント
―専門学校を選ぶ際のポイントをお聞かせください。
学内の実習で使用する医療機器の種類や台数はポイントになると考えます。医療機器は、小グループで実習ができるよう台数を充実させ、法改正に併せた新規導入をしていることから、学校と医療現場の信頼関係を知るひとつの指標になります。
また、台数が多ければ、それだけ一人ひとりの学生が実際に触れて学ぶ機会が増え、機器への理解が深まります。
東京電子専門学校では、旧型の機器も取り揃えており、アナログな構造から機器の本質的な役割を学んだのち、実際の現場でも用いられる最新のデジタル機器に触れることができます。
教員に医療機関での実務経験があるかどうかも大事なポイントです。本校では経験豊富な教員によるサポート体制が整っており、学生からの質問に必ず対応するのはもちろんのこと、熱意のある学生には実習室を開放し、できるようになるまで付き添って教えることもあります。
―最後に、臨床工学技士を目指す高校生にメッセージをお願いします。
臨床工学技士は、患者さんだけでなく、その家族や医師、看護師との信頼関係を構築できるやりがいのある仕事です。もちろん、その分大きな責任感も求められます。
普段は表立って目立つことはありませんが、陰で高度な医療を支える縁の下の力持ちとして、充実感を持って働くことができます。
臨床工学分野のポイント
1 強い意欲と好奇心を持って学ぶ
患者さんの命を守る責任重大な仕事だからこそ、明確なビジョンを持って学ぶ姿勢が大切。
2 座学と実習を通じて知識と経験を積む
医療機器の知識はもちろん、現場での経験がものをいうので、実践的な学習が将来の力になる。
3 キャリアを見越した学校選びが重要
どんな機器を使って学べるのかなど、情報を集めて自分の理想に合った学校選びをしよう。
この質問に答えてくれた人
東京都豊島区東池袋3-6-1
TEL 03-3982-3131
https://www.tokyo-ec.ac.jp/
→『進路の広場』で東京電子専門学校を見る
東京電子専門学校
臨床工学科
佐藤 安寿 先生
自衛隊中央病院にて勤務の後、陸上自衛隊朝霞駐屯地医務室内視鏡室勤務。その後、自衛隊中央病院に復帰しME班班長を務めた後、現職。臨床現場の最前線に立ち会ってきた経験を活かし、実践的な教育を行う。