ペット業界で評価の高い資格を取得できる学校を選ぶことが大切

戦後、経済成長と足並みを揃えるようにペット産業は拡大を遂げた。その黎明期から一貫してトリマー養成と動物看護師養成に尽力してきたのが、学校法人東京愛犬学園 東京愛犬専門学校だ。

パイオニアとして業界をリードし、卒業生が1万人以上を数える同校で理事長校長を兼務する窪田武雄先生にお話を聞いた。

動物と関わる仕事がしたいと強く思うなら、教員の質をぜひ見てほしい

犬に好かれても嫌がられても目標に向かう覚悟を持とう

―トリマーや動物看護師の仕事内容から教えてください。

まず、トリマーは「犬の美容師」。

犬に寄り添って2時間程度を過ごし、カットやブローなどを行います。犬は気分がよくなってなつきますし、犬に好かれる仕事です。

国家資格はありませんが、業界で高く評価されているのは、犬の血統証明書の発行機関として知られる一般社団法人ジャパンケネルクラブ(以下、JKC)の指定校・認定校で取得できる資格です。

動物看護師は主に動物病院に勤務し、獣医師による診察や手術のサポートなどを行います。

「動物に癒される」といったポジティブなイメージが先行していますが、治療を嫌がる動物に噛まれたり引っ掻かれたりする危険も伴います。このような実際の仕事内容の大変さがあまり認識されていないとも感じます。

この動物看護師も現在は国家資格がありませんが、2019年に愛玩動物看護師法が制定されました。獣医師の補助に加え、新たに採血や注射、投薬、顕微鏡検査など、動物看護師として携われる業務範囲は拡大されます。

高校生には、トリマーや動物看護についてのこうした現場の実情をよく理解した上で、専門学校選びを検討してほしいと思います。

優れた指導者のもと、業界で信頼される資格を取得してほしい

―学校選びのポイントを教えてください。

各校の教員の顔ぶれ、とくに保有資格や実績は要チェックです。

また、あくまでも教員と学生という人間関係の中での指導ですので、教員の人柄も重要。学生の向上心を刺激してやる気を高める教員の手腕も学校選びの大切な要素です。

例えば、吹奏楽部の楽器や教材が一流でも、指導者の力量次第では教材を使いこなせず、いい音も出ないはず。同様に、長年にわたって蓄積された豊富なノウハウが凝縮されたトリミング理論の指導者の存在が望ましいといえます。

一例として、JKCの推薦指定機関として認定され、公認資格を持つ指導者のもとで公認トリマーB級C級を取得できる学校なら安心です。

なお、JKCの最上位資格である「師範」の取得者は全国で10数名のみ。いわばレジェンドのような指導者からトリミングを学べる学校を探してみるのもいいかもしれません。

動物看護も、現段階で動物看護師の資格として有効なJKC公認資格の「アニマル衛生看護士」や、公益社団法人日本愛玩動物協会が認定する「愛玩動物飼養管理士」を取得できる学校なら、就職活動でも優位になれるはずです。

 

―入学後は、どのような授業があるのでしょうか?

まずは犬や猫を中心とした動物の心理や接し方を理論的に学び、実習で実践力を磨きます。

本校では、飼い犬のトリミングをお任せしてくださる地域の一般家庭と連携しており、さまざまな犬種のトリミングに挑戦できます。地域住民の方が大切に育てている犬ですので、実際のペットサロン同様の緊張感の中で腕を磨くことができます。

その他、国内外で活躍する災害救助犬のトレーナーによる授業や、盲導犬の訓練方法を学べる授業、動物病院での現場実習、ドッグトレーニングやトリミングの競技会への参加など、各校が多様な取り組みを行っています。

そして、こうした学習機会を経て、JKC公認の「ハンドラー」や「訓練士補」などの資格を取得できる学校もあります。それだけ指導内容が幅広く、身につくスキルの引き出しが増えるということです。

また、多様な授業を可能にする背景には、その学校が築いてきた業界との信頼関係がありますので、学校選びの参考にもなります。

 

動物への熱意は、専門学校で一生モノの技術に昇華する

―最後に、ペット業界に適した人材像をお聞かせください。

ペットが自分にとってかけがえのない存在だと考える学生は、動物に対するやさしさに満ち溢れ、日々の原動力になっている印象を受けます。

また、大学に進学できる学力があっても専門学校に進学してくる学生も確かに存在します。学力や偏差値という物差しだけでは語れない強固な意欲を持った学生がいるのです。

そんな学生の熱意に応えるために、そして大学ではなく専門学校に送り出してくれたご家族や高校の先生方のためにも、私たち専門学校には徹底した指導によって学生を成長させる責務があると考えています。

一方、「動物はかわいい」といった短絡的なイメージや、他人からペット業界の魅力を伝え聞いただけで入学し、結果的にミスマッチを感じてしまう学生も見てきました。ですから、まずは体験入学や学校見学、オープンキャンパスを最大限活用し、徹底した情報収集を大切にしてほしいと思います。

 

トリマー・動物看護分野のポイント

1 取得できる資格の種類を知る

「公認トリマーB級」や「アニマル衛生看護士」など、民間資格でもJKCが定める資格であれば業界内で評価が高く、就職にも活かせる。

2 教員の保有資格や実績を見る

JKC公認のトリマー資格なら、最高峰の「師範」とこれに次ぐ「教士」の合計は全国で約100名。こうした講師に学べる学校がおすすめ。

3 学べる内容の幅広さ

災害救助犬や盲導犬なども含めた動物と人との関係を多角的に捉える視点を養いたい。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 東京愛犬学園
東京愛犬専門学校
理事長・校長 窪田 武雄 先生
1970年の創立前から発起人として関わり、1987年に学園長に就任。2017年には東京都教育功労賞も授与された。
取材後記
窪田先生によれば、トリマーや動物看護師の養成施設が各地に開設されたのは高度経済成長期。「ペットと暮らせるのは平和だから。ペットは平和の礎なんです」この話は50年、業界を見続けた先生だからわかることだろう。一方でこの分野で学ぶなら動物と本気で向き合う事が必須とも強調されていた。稀有なJKC師範の講義が聞ける同校の体験見学会は動物分野を知るうえで非常に貴重な機会ではないだろうか。
学校紹介
東京愛犬専門学校

東京都中野区上高田1丁目1-1
TEL 03-3366-2322
https://www.aiken.ac.jp/