エンタメ業界は「実体験」の時代 イベントを支えるシゴトを学ぼう!

 エンタメ業界では、ライブや野外フェスなど実体験イベントが盛り上がっている。ミュージシャンやダンサーが脚光を浴びる舞台裏では、音響、照明、作曲・編曲などさまざまな職種のプロたちが活躍している。音楽、音響、放送、照明など、エンタメ業界の仕事の最前線について、日本工学院専門学校の副校長 遠山一明先生に聞いた

実体験を共有(シェア)して楽しむのが主流の時代が到来

—エンターテインメント業界の現状と今後の展望についてお聞かせください

皆様もご存知の通り、ここ20年で社会の構造は大きく変化してきました。個人でCD・DVDを楽しんでいた時代は過ぎ去り、音楽や映像を自ら作ってSNSで仲間と共有して楽しむことが主流になってきました。

重要になるのは、共有するための「コトづくり」です。これは、ライブやフェスなどの実体験イベントを「つくる」ことを意味しています。高度情報化の流れを受け、実体験を共有・共感するための最先端の専門的な技術の進歩に、今最も注目が集まっています。

そんな背景もあり、ライブ、コンサート、舞台など実体験イベントを支える音楽、音響、放送、照明などの仕事の重要性が改めて高まっています。

この分野は働き方改革が進み、交代制や時間制が積極的に導入され、求人も増え、働きやすい環境が整ってきました。イベント運営スタッフには、女性が中心となって活躍できる職種も増えてきました。

—音楽・音響・放送・照明それぞれの分野には、どのような職種があるのでしょう?

まず「音楽」分野には、ヴォーカリスト、ミュージシャンなど、自らがパフォーマーになる仕事のほか、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、ゲーム音楽クリエイターといった裏方の仕事があります。

「音響」分野は、コンサート会場やライブハウスの音響オペレーターであるPA(Public  Address)やレコーディングエンジニアなどが主な仕事でしょう。

「放送」分野は、テレビやWEB動画の制作ディレクターや映像編集スタッフ、美術・大道具スタッフといった仕事があります。

最後の「照明」分野は、コンサートやライブハウス、演劇舞台の照明スタッフをめざすことになります。

このほか、特定のジャンルに収まらない「企画」のような職種もあります。これはコンサートやライブを企画するプロモーターのような仕事で、今だとグルメやカルチャーをテーマにした各種フェスを企画・運営する仕事もここに当てはまります。「企画」を仕事にしたいと思う人は、公務員として地域活性化のリーダーシップをとるような仕事もあるでしょう。

業界で活躍するプロから実践的なスキルを学べる

—この分野を専門学校で学ぶ意味はどのようなところでしょう?

やはり業界のプロから実践的なスキルを学べることではないでしょうか。例えば、私が務める日本工学院のミュージックカレッジでは、プロのミュージシャンやダンサー、音楽プロデューサーから直接指導を受けることができます。

さらに、エンタメ業界の企業との共同プロジェクトを実施している専門学校も多数あります。コンサートやフェスの運営を実際に経験し、自分の適性を見極めることができるのは、専門学校ならではのメリットだと思います。

—この分野の専門学校を選ぶ際のポイントを教えてください。

まず、カリキュラムをしっかり読み解くのが大事です。どういう考えでどのような授業を設計しているのか、企業や産業界と連携した授業はあるのか……などがチェックポイントでしょう。

また、自分がめざす業界の実務経験がある講師陣が集まっている学校を選べば、得るものは違ってくるでしょう。さらに、学校の設備も重要です。本校では、プロミュージシャンが仕事で使うレベルのレコーディングスタジオを完備しています。最新機器を使ってプロ同様の技術を身につければ、現場で即戦力になれるのは間違いありません。

—就職先について、学校による違いはあるのでしょうか?

冒頭でもお話しした通り、就職に関してはどの学校の卒業生も引く手あまたの状態です。そこで重要になるのは、細分化された職種を理解しておくことです。

音楽業界といっても芸能事務所、レコード会社、音楽系出版社、イベント運営会社、流通業者など実にさまざまです。自分がめざす未来像が具体的になれば、その分野で活躍している先輩が多い学校を選ぶことができるでしょう。

日本工学院は、23万人以上の卒業生が、エンタメ業界などの幅広い職種で活躍しています。こうした各学校の就職実績や卒業生ネットワークをチェックしておくことも重要です。

—最後にエンタメ業界を目指す高校生にメッセージを。

エンタメ業界の仕事は、ロジック(理論)とテクニック(技術)だけでなく、「感性」も必要です。感性を鍛えるには、やはり心を揺さぶられる経験をするしかありません。そのためには、高校時代からいろいろなことに挑戦して、観て・感じて、心の感度を上げておくと良いのではないでしょうか。

音楽・音響・放送・照明分野のポイント

1 リアルな現場の仕事を学ぼう

エンタメ業界は「実体験」イベントが活況。現場を支えるスキルが求められている。

2 憧れの業界のプロから学べる環境を選ぶ

ミュージシャンや作曲家、映画監督などめざす道のプロが講師をしている学校を探そう。

3 設備や実習内容をチェック

将来、働く環境と同じレベルの設備を完備している学校で実習を受ければ即戦力になれる。

この質問に答えてくれた人

学校法人 片柳学園 日本工学院専門学校
副校長 遠山 一明先生
(学)片柳学園入職後、(株)ホットスタッフ・プロモーションへ出向。2年間の業界研修を経て、ミュージックカレッジの基礎となるコンサート・イベント科の起ち上げに参画。武部聡志氏、SAM氏とともに独自のカリキュラムを構築。カレッジ長を経て、2011年副校長に就任。学生達の夢の実現のための教育活動に奔走。
取材後記
遠山先生のお話を伺い、音楽業界のイベント現場を支えるスタッフの仕事環境がこの数年で大きく働きやすくなっているということはもっと知られるべき話だと強く思った。それにしても、同校の設備面の充実ぶりは何度見ても素晴らしいの一言。
学校紹介
日本工学院専門学校
東京都大田区西蒲田5-23-22
日本工学院八王子専門学校
東京都八王子市片倉町1404-1
TEL 0120-123-351
https://www.neec.ac.jp