認可校と無認可校
専門学校は、都道府県知事の認可を受けて教育活動を行います。認可を受けるには、学生数や授業時間数などいくつかの基準が設けられていて、この基準をクリアした「認可校」だけが専門学校として開かれるわけです。
一方、認可を受けていない教育機関(学校)のことを「無認可校」と言います。無認可校は、認可校のように満たさなければいけない基準もないため、特に決まりごとはなく自由な形態での運営が可能です。
では、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。下記の表をもとに説明します。
認可校 | 無認可校 | |
教育目的 | 職業もしくは実際生活に必要な能力を育成し、 または教養の向上を図ることを目的として 組織的な教育を行うもの(学校教育法第82条の2) |
法律上の目的 規定なし |
学生数 | 40人以上 | 規定なし |
授業時間数 | 年間800時間以上 (夜間は450時間以上) |
規定なし |
修業年限 | 1年以上 | 規定なし |
編入学 | 専門士に準ずる要件で 4年制大学への編入学が可能 |
不可 |
公的奨学金 | 適用あり | 適用なし |
定期券 | 通学定期 | 原則は通勤定期 (一部認められる学校もある) |
学割 | 適用あり | 適用なし |
専門士の称号 | 文部科学大臣告示により一定の要件を満たした 修了者に称号を付与する |
付与なし |
卒業後の待遇 | 2年以上の専門課程卒業生は短大卒と 初任給、昇格、昇給などが同等の扱いとなる (公務員の場合) |
高卒扱い |
無認可校を卒業しても高卒扱い
まず認可校(専門学校)が必ず満たさなくてはいけない条件として、「学生数40人以上」「年間授業時間数800時間以上(夜間は450時間以上)」「修業年限1年以上」の3つがあります。その他にも、学生数に対する教員の人数や教室設備などが決められています。教育の質として一定の水準が保証されているとも言えますね。
また通学定期が購入でき、学割の適用もあります。修業年限2年以上・授業時間数1700時間以上の課程であれば、卒業後に専門士の称号が付与されます。
一方で無認可校を見ると、規定らしきものはありません。ここで明らかに認可校より不利になる点は、まず「学歴」です。無認可校を卒業しても学位は付与されないため、最終学歴は「高卒」となります。これが一番注意したいポイントです。また学割が適用されず、定期券も原則は通勤定期を購入することになります(一部、通学定期が認められる学校もあります)。
補足をしますと、無認可校が一概に悪いというわけではありません。上記に挙げたような「認可校との差」を理解しておくことが重要だということです。無認可校の中にも、認可校以上に充実した教育内容と関連業界との深いつながりを持ち、素晴らしい就職実績を出している学校は存在します。
これらの学校は、学歴よりもスキルがモノをいう業界であることが多いので、最初から無認可校と理解した上であれば選ぶ価値はあるでしょう。
ただ、基本的には認可校を選んでおいた方が安心です。通っている学校がもし経営危機になったとしても、認可校であれば都道府県の責任において全員が卒業するまでの継続運営の指導があったり、同じ分野の他校に転校するなどの救済措置があります。無認可校の場合は独自対応が原則なので、ある日突然閉校・解散ということもありえます。
どうやって認可校と無認可校を見分けるのか
では肝心の認可校と無認可校の見分け方について。いちばん簡単なのは、学校名に「専門学校」という文字があるかどうかです。
「専門学校」の名前を冠した学校は100%認可校です。認可を受けていないと「専門学校」を名乗ってはいけないのです。無認可校の校名で多いのは「〇〇学院」「〇〇学園」「〇〇アカデミー」などです。中には「専門校」「専門の学校」などと紛らわしい表記をする学校も…。このような名称の学校に興味を持った方は、必ず事前確認をしておいた方がよいでしょう。
ただ、学校名に専門学校と入っていない認可校も一部あるのでご注意ください。例えば、専門学校として長い歴史を持つ中央工学校や神田外語学院、文化服装学院などがこれにあたります。
認可校/無認可校の特徴を知った上で自分に合った選択を
繰り返しになりますが、無認可校だからすべて悪い、というわけではありません。ただ、認可校だと思って選んだ学校が実は無認可校で、当然受けられると思った特典や学歴が得られず、入ってから困った!という事態は避けたいですね。
認可校と無認可校のメリット・デメリットについしっかり理解した上で、後悔のない志望校選びをしてほしいと思います。