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憧れのスポーツ業界で働きたいと思っている高校生も多いだろう。スポーツビジネスが注目を集めるなか、トレーナーやインストラクターの活躍のフィールドも広がっているという。
実際にどのような仕事があり、専門学校ではどのようなスキルが身につくのか。日本工学院八王子専門学校スポーツ・医療カレッジの三樹春幸カレッジ長、内田幸一先生に話を伺った。
活躍のフィールドが広がり
ますます門戸が開かれるスポーツビジネス分野
スポーツに欠かせない
トレーナーやインストラクターの仕事
―スポーツ分野の仕事と専門学校の学びについて教えてください。
三樹 スポーツ分野とひと口に言っても関連する仕事は多岐にわたります。
例えば、日本工学院八王子専門学校スポーツ・医療カレッジでは「トレーナー」「インストラクター」「ビジネス」「プレイヤー・コーチ」の4系統に分け、コースごとに教育を行っています。
内田 高校生からの関心が高いのが、「トレーナー」系統です。トレーナーとは、科学的な根拠をもとに選手などの身体のケアをする仕事です。プロスポーツのチームには、技術的な指導をするコーチのほかに、必ずトレーニングのプロも在籍しています。
なかでもアスレティックトレーナー(AT)はスポーツ選手のケガの予防や応急処置を行います。私も本校で教員をしながら、ATとしても仕事をしており、プロスポーツ選手の自主トレ合宿に帯同して、指導をすることもあります。ATになるには、日本スポーツ協会が認定する専門学校で学んだ後、実技試験等を受け資格を得ることが不可欠です。
他にもプロ選手だけでなく、一般のスポーツ愛好家に対してトレーニング指導を行うパーソナルトレーナー、医師や医療従事者と連携し、整体などの技術を用いて指導をするメディカルトレーナーなど活躍する領域はさまざまです。
次に「インストラクター」系統は、子どもから高齢者までさまざまな人にスポーツの楽しさやスキルを教える仕事です。いわゆるスイミングスクールやフィットネスクラブの先生です。最近は、ダンス、マリンスポーツ、スキー、スノーボード、アウトドアなどの指導ができる人材にも需要が高まっています。
三樹 「ビジネス」系統では、スポーツビジネスの領域を幅広く学ぶことができます。具体的には、スポーツイベントの企画や運営、グッズ販売、施設やショップの運営、メディアなどといった分野を中心に教育を行うことが多いですね。
最後の「プレイヤー・コーチ」系統は、その名の通り、選手やコーチとして活躍する領域です。本校では、サッカーとテニスで選手の育成・指導技術の習得、審判資格取得などを目指すコースを設置しています。ATのコースで学ぶ学生が、プロ選手を目指す学生のトレーニングメニューを考えるようなコラボレーションも行っています。これは、本校ならではの取り組みだと思います。
専門の資格取得がトレーナーの第一歩。
地道な下積みも覚悟して
―鍼灸師や柔道整復師とトレーナーの仕事に違いはありますか?
三樹 トレーナーを目指すことは、鍼灸師や柔道整復師の資格取得を目指すことと思われがちですが、両者の役割は異なります。鍼灸師・柔道整復師は、身体に支障が出た後のケアが主な仕事なのに対し、トレーナーはケガの予防やケガをしない身体づくりを指導します。
また、トレーナーとして働くためには、専門の資格取得が必須となります。代表的なものとして、日本スポーツ協会のアスレティックトレーナー、NSCA認定パーソナルトレーナー、JATI認定トレーニング指導者が挙げられます。いずれも資格を取得できる学校やコースが限られるので、専門学校選びの際は注意が必要です。
内田 これらのトレーナー資格は、いずれも簡単に取得できるものではありません。特にAT資格は難関です。そこで本校でATを目指す学生には、2年制より3年制のコースでじっくり学ぶことをすすめています。また、資格を取得すれば、すぐにATの仕事があるわけではありません。
母校でのトレーニング指導などをしながら、着実に実績を積み、ポジションを得ていく例が多いですね。私もATの資格取得後、高校・大学の運動部や社会人チーム、プロチームで、一流の選手たちと現場で接しながら、多くのことを学んできました。
ATの仕事の本質は、選手を輝かせるために全力でサポートをすることです。本校の卒業生でもプロ野球やJリーグ、高校・大学の有名チームなどでATとして活躍している卒業生が年々増えています。
―スポーツ分野の専門学校を選ぶ際のポイントを教えてください。
内田 現場や実務をよく知る教員から指導を受けられる環境が重要だと思います。特に常勤の教員に経験者が多いといいですね。私もプロスポーツチームでのATの経験を学生の指導に大いに活かしています。
設備の充実度も大切です。トレーニング方法を実践的に学べる環境かどうか、実際に学校に足を運んで自分の目で確認してください。
―最後にスポーツ分野に興味を持つ高校生にメッセージを。
内田 ATを目指すには、解剖学の専門的な知識が必要になります。高校時代から、骨や筋肉、関節など身体の細部に関心を持ちながらスポーツと向き合ってほしいですね。
三樹 トレーナーもインストラクターも人と対面で仕事をしますので、コミュニケーション力は不可欠です。人が好き、会話が好きという人に向いている職業です。専門知識は学校で学べば身につきます。むしろ、高校時代は、基本的な挨拶をはじめとしたヒューマンスキルを磨いておくと大きな強みになると思います。
スポーツ分野のポイント
1 鍼灸師・柔道整復師とトレーナーの仕事の違いを知る
トレーナーには専門の資格があり、鍼灸師・柔道整復師とは違う勉強が必要なことを知っておく。
2 実務に精通した教員から教育を受けられるか
現場経験が充分で、かつ常勤の教員が多数在籍しているか。
3 めざす分野に必要な資格のサポート体制
必要な資格は将来の目標によってさまざま。それらに対応したサポート体制があるか確認を。
この質問に答えてくれた人
スポーツ・医療カレッジ
内田 幸一 先生
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。障害予防とパフォーマンス向上が専門。日本工学院八王子専門学校卒業後、プロ野球選手をはじめ、中学生〜大学生に20年間指導してきた経歴を持つ。
東京都八王子市片倉町1404-1
TEL 0120-444-700
https://www.neec.ac.jp
姉妹校
日本工学院専門学校
東京都大田区西蒲田5-23-22
→『進路の広場』で日本工学院八王子専門学校を見る
スポーツ・医療カレッジ
カレッジ長 三樹 春幸 先生
日本大学卒業後、スポーツクラブに就職し、インストラクターとして指導にあたる。36歳で転職し、現在に至る。前職時代から人と接することが好きで、人が喜ぶ顔を見ることに生きがいを感じている。