ネットワークやセキュリティの知識も兼ね備えた社会で求められる最先端のITエンジニアを育成

私たちは現在、インターネットやモバイルアプリ、クラウド環境といったITサービスを日常的に利用している。これらを開発・運用しているのがプログラマシステムエンジニアと呼ばれる職業の人々だ。

専門学校ではどのようなIT人材育成が行われているのか、東京電子専門学校砂賀勝己先生に話をお聞きした。

実際に手を動かしながら学ぶ「演習型授業」で着実にスキルアップする

ネットワークやセキュリティに関わるエンジニアに注目が集まる

―まずは情報処理・IT業界の現状からお聞かせください。

コロナ禍を経て、システムエンジニア(以下SE)やプログラマといった職業はパソコンさえあれば在宅でも十分に働けることが証明されました。それゆえにテレワークを推奨する企業や、リモートワークワーケーションなどの働き方を自由に選択できる企業が多くなっています。

業界全体としては常に人手不足で、中途採用も含めて引く手数多な状況。だからこそ、自らの生活キャリアプラン合った企業に就職することも難しいことではありません。

SEやプログラマというと、モバイルアプリやWebサービス、企業などで使われるシステムの設計・開発を担う「開発職」を思い浮かべる人が多いと思います。業界全体として開発職は人気が高く、求人数も最も多い状況ですが、そうしたシステムを下支えするネットワークセキュリティ関係のエンジニアも多く求められている傾向にあります。

ネットワークが整っていなければ、アプリやWebサイトは運用できないもの。また、情報漏洩サイバー攻撃を未然に防ぐために、セキュリティ管理もますます重要になる時代です。開発職やセキュリティ、ネットワークエンジニアは職種としては分かれていますが、近年ではどちらの領域にも踏み込むことができる総合的な知識やスキルを兼ね備えている人材が重宝されています。

ただ、高校生の段階ではネットワークやセキュリティがいかに重要な役割を果たしているかイメージを掴みづらいと思うので、専門学校で実際に手を動かしながら学ぶなかで、自分の適性を見極めてほしいです。

 

体験授業を面白いと感じれば
その先の未来について具体的に考えてみてほしい

―専門学校選びの際にチェックすべきポイントを教えてください。

社会に出て即戦力として活躍するためには、実際のシステム開発を想定しながら自分の手を動かして学ぶ「演習型授業」が重要です。

例えば、プログラムのコードを見てエラーに気づけるかどうかは、経験の差が出ます。しかし、演習で経験を積めば積むほど、気づきの感度が磨かれます。しかも、経験した分だけ引き出しは増え、トラブルを未然に防いだり、クライアントの要望に応えたりできるようになります。

システムの設計や開発、ネットワーク、セキュリティなどをバランスよく学びながら、就職後の実務に直結する実践型の授業があるかどうか。そうしたカリキュラムの内容を細かくチェックしてほしいです。

また、就職活動では数学や作文などの試験が課されるケースがあり、入社後も報告書や提案書類などを文章でまとめる機会が多くあります。

そのため、本校では数学系科目教養系科目重視しています。反対に、パソコンと向き合う授業中心でIT技術の応用力向上を最優先にする学校もあるので、各校のカラーを比較して検討してみてください。

なお、本校では基礎が最も大切だと考え、理解できるまで何度も反復して練習します。就職後の開発業務においてもひとつずつ課題をクリアしていく作業の積み重ねなので、専門学校のうちに根気強さを身につけてほしいと思っています。

こうした各校の特色を確かめるには、実際に学校へ足を運ぶのが一番です。受講した体験授業を純粋に面白いと感じることができれば、好相性の可能性が高いでしょう。

そして、ただ「楽しかった」で終わるだけでなく、そこで学べばどのような将来を見据えることができるのか、クラス担任や授業を担当する教員に質問しながら具体的に考えてみると後悔のない学校選びができると思います。

学校の雰囲気に触れ向き不向きを判断するためにも、まずはさまざまな学校に足を運び、見比べてみてほしいですね。

 

―最後に、情報処理・IT分野を目指す高校生や保護者にメッセージをお願いします。

コンピュータが好きだという気持ちがあり、積極的に学びたいという姿勢があれば、文系も理系も関係ありません。実際、普通科出身で文系の学生も本校には多数在籍しており、ゼロから確かな知識を身につけ就職につなげています。

IT業界で働きたいという目標が決まっていれば、研究的な側面も多い大学よりは専門学校基礎から実践的なスキル重点的に学ぶことがおすすめです。大学生よりも早く社会に出て経験を積めることは大きな財産になります。

高校時代には、部活動でもアルバイトでも活発に多くのことを経験しながら、もし人との関わり苦手意識があるならば、少しずつでも克服していくことが大切です。IT業界はパソコン操作がすべてではなく、あらゆる業務は人とのコミュニケーションから始まります。

高校の授業に関しては、数学I・A漢検三級程度読み書き高校1年生程度英語まではしっかりと学んでおいてほしいです。

IT業界の職業はシステムエンジニアやプログラマだけではありません。幅広い職種があるので、そこに広く目を向けてみてください。

 

情報処理・IT分野のポイント

1 システム開発からセキュリティ、ネットワークまで幅広い知識が必要

システムを総合的に見渡す視野と横断的なスキルが、優れたエンジニアの共通項。

2 演習型授業など、カリキュラムを見る

ITスキル+社会人として役立つ教養なども学べる学校だと視野も広がる。

3 入学時に知識がない「文系」でもOK

カリキュラムがしっかりした学校で毎日真面目に学べば、着実に成長できる環境がある。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 電波学園
東京電子専門学校
情報学部
砂賀 勝己 学部長
東京理科大学卒業後、東京電子専門学校の助手を経て、教員に。
2010年からはウェブ・メディア科、情報処理科、高度情報システム科、情報処理科3年制を統括する情報学部の学部長となり、2016年度にはセキュリティ・ネットワーク科を新設した。
取材後記
専門学校で情報処理・ITを学ぶ際には「とにかく手を動かして、体感してほしい」とお話されていた砂賀先生。
IT業界はテレワークと相性もよく働き方も先進的で求人は引く手あまた。将来性が豊かな分野であることは間違いないだろう。
学校紹介
東京電子専門学校

東京都豊島区東池袋3-6-1
TEL 03-3982-3131
https://www.tokyo-ec.ac.jp

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