半導体、センサー素子など時代が求める エレクトロニクスの最先端技術を学べる

私たちが日々使っているスマートフォンやパソコンには、数え切れないほどの「電子デバイス」が詰まっているという。

しかし、この「電子」とは何か?と問われて、すぐに答えられるだろうか。

そこで、東京電子専門学校電子技術科石川正和先生に、「電気」とも違う「電子」分野の学びとその将来性について話を聞いた。

通信、運輸、精密機器メーカーなど幅広い業界で求人多数!

電子分野=ソフトウェア 電気分野=ハードウェア

―そもそも「電子」と名がつく学科では、何を学ぶのでしょう?

まず、電子分野と電気分野の違いからご説明しましょう。

電気分野は、電気システムや電気エネルギー関連の学問領域で、古くは「強電」と呼ばれていました。電気分野の特徴は、電気エネルギーとして扱うことで、学ぶ対象は発電や送電に関するハードウェアが中心となります。

一方、電子分野は、エレクトロニクスやコンピュータ通信など、ソフトウェアを含む領域で、かつては「弱電」と呼ばれていました。

電子分野の特徴は、情報としての電子を扱うことです。主に、半導体、光ファイバーなどを使った電子デバイス、映像素子や感熱素子などのセンサーデバイスなどが研究対象になります。ここで情報というのは、スマホ内部の電気信号、インターネットなどの光信号などを指します。

私が勤務する東京電子専門学校電子技術科では、電子回路、半導体工学、無線通信、センサー関連の学びに触れます。

大まかに分けると「電気=エネルギーなどの大きい分野」、「電子=スマホの中身などの小さい分野」と考えていいと思います。

■電子分野・電気分野の学びのキーワード
電子分野
エレクトロニクス/電子デバイス/センサーデバイス/電子回路/半導体工学/コンピュータ通信/電気信号/光通信
電気分野
電気システム/電気エネルギー/発電・送電システム

 

―電子分野を学んだ学生は、具体的にどのような職業に従事しているのでしょう?

東京電子専門学校の例ですと、通信関連企業、鉄道・運輸関連企業、放送関連企業、電子・電気機器メーカー、精密機械メーカー、コンピュータ関連企業などに就職する例が多いですね。

皆さんもニュースでご存じの通り、今は世界的に半導体不足が深刻化しており、この傾向はこの先も続くと考えられています。半導体業界もまさに、電子分野の卒業生が活躍している領域です。

イメージがつきにくいだけに、あまり知られていませんが、電子分野は、将来の就職を考える上でも非常に魅力的な学問領域だと思います。

 

AI化、EV化の流れで電子デバイスのニーズ拡大

―電子分野の業界の現状についてお聞かせください。

AI化EV(電気自動車)化など時代の大きな流れを受け、完全に追い風の状況です。半導体やバッテリーなど精密機器製造現場は好況で、人材の取り合いが起こっている状況です。

そのため業界全体として、労働時間管理、休日取得など、福利厚生関係もしっかり整備されている傾向があります。

また、鉄道、高速道路、通信関連などのインフラ系企業もコロナの影響が少なく、業績の安定推移が今後も見込まれます。5G通信網の拡大で、アンテナ設置などの仕事も大忙しのようです。

 

―電子分野において、専門学校と大学の学びの違いはありますか?

一般的に大学専門分野に関する知識や理論を追究する場所です。

一方、専門学校志望職種で必要とされる専門知識や技術を習得するのが目的となります。そのため、東京電子専門学校では、総授業数の約5割実習・実験にあて、現場で役立つ実践的なスキルを養成しています。

 

―この分野で取得可能な国家資格について教えてください。

東京電子専門学校の電子技術科の例としては、卒業時に第一級陸上特殊無線技士の資格が取得可能です。また、第二種電気工事士工事担任者電気製品エンジニアなど、将来の仕事で役立つ資格の取得を目指すこともできます。

特に、第二種電気工事士の資格は、電気工事の仕事を幅広く受け、安定収入を得られる点でおすすめです。

 

就職状況は極めて堅調 転職でキャリアアップも

―普通科を卒業した生徒でも授業についていけるでしょうか?

よく聞かれる質問ですが、工業高校卒の新入生はむしろ少数派で、電子技術科の7割以上の学生は普通科卒です。

工学分野ですので、数学や物理学基礎知識はどうしても求められます。そこで、どの専門学校でも数学や物理学を初歩から学べる授業を設置しています。ですから、普通科商業科卒の生徒も大歓迎です。

 

―最後に電子分野に興味がある高校生や保護者にメッセージを。

為せば成る、為さねば成らぬ何事も」のスピリットで、ぜひ飛び込んできてください。

大切なのは、スマホやロボット、EV、通信インフラなどに興味があるかどうかです。専門技術を学ぶ以上、難しいのは当たり前です。その分、しっかりサポートします。

幸い、就職状況極めて堅調です。技術職なので、就職後、転職してステップアップすることも可能です。電子分野の専門技術は、あなたを一生守り続けてくれる財産になるでしょう。

 

電子分野のポイント

1 卒業生の就職実績をチェック

その学校の先輩たちの就職先が、将来の活躍の場となる可能性が高い。
鉄道系、通信系など、志望の業界があれば、事前に就職実績をチェック!

2 取得できる資格をチェック

電子分野の専門学校は、卒業時点で取得できる資格があるケースも多い。事前に調べておこう。

3 理系の基礎科目があるかどうか

理系科目が苦手な場合は、数学や物理学の基礎科目の有無、学習サポートの内容を確認しておこう。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 電波学園
東京電子専門学校
電子技術科
石川正和 先生
シャープ株式会社東京研究所にてハイビジョンVTRの時間軸補正装置の開発に従事。
この経験を活かし、電気数学・電気回路・デジタル回路等を担当。
取材後記
電気と電子の学びの違いをわかりやすく解説してくださった石川先生。
スマートフォンの通信インフラの仕事は拡大する一方で、他にも無線・インフラ・ロボット・EVなど、電子技術者のニーズは増える一方とのことだ。
ねらい目な今のうちに学ぶことをおすすめしたい。
学校紹介
東京電子専門学校

東京都豊島区東池袋3-6-1
TEL 03-3982-3131
https://www.tokyo-ec.ac.jp/

→『進路の広場』で東京電子専門学校を見る