自動運転システムをはじめ、最先端の自動車に対応できる知識・技術を身につけてほしい

一般ユーザー向けの乗用車から、産業用途のトラックや建設機械まで、自動車整備士が活躍できるフィールドは多岐にわたる。

一方で、自動運転システムを代表格とする電子制御技術が著しい進歩を遂げたことで車検制度が変わり、自動車整備士が果たすべき役割にも変化がもたらされようとしている。

専門学校はどのようにして自動車整備士を養成していくのか、東京工科自動車大学校中野校・佐々木 章校長に伺った。

ガソリン車にも先進安全自動車にも対応できる人材を目指そう

技術の進歩や制度の改正など 時流に乗って活躍できる自動車整備士を育てたい

―まずは自動車業界の現状についてお聞かせください。

近年は、センシング技術を駆使した自動運転システムや自動停止装置を搭載した先進安全自動車(ASV)を筆頭に、高度なプログラミング技術によって電子制御された自動車の普及が進んでいます。

また、脱炭素社会の実現に向け、日本政府は、2035年には日本国内でのガソリン車とディーゼル車の新車販売を中止する目標を掲げています。

そうした未来に向けて、電気で走る自動運転バスの公道における実証実験なども既に各地で実施されています。

2024年には自動運転システムや自動停止装置の機能を車検の対象とする新制度もスタートするため、ASVの点検・整備を行える「特定整備認証工場」を認証する「自動車特定整備事業」も始まっています。この「特定整備」では、センシングに用いる検知デバイスを検査する「エーミング作業」などが新たに加わりますが、これまでの自動車整備士養成校では学ばない内容のため、自動車整備士は講習会などに参加して、自ら技術を修得する必要があります。

―自動車整備士資格について詳しく教えてください。

現行の自動車整備士資格は、一級・二級ともに、ガソリン車とディーゼル車の整備に関わる国家資格です。その学ぶ内容と時間数は、管轄する国土交通省が定めています。

自動車整備士試験では、エンジンの制御装置とシャーシの電子制御に関する問題が15問ずつと、故障探究が10問、法令と環境・安全が5問ずつの全50問のマークシート方式で行われ、40問正解で合格となります。

こうした知識や技術は、依然として大多数を占めるガソリン車やディーゼル車の整備に不可欠であることは言うまでもありません。ただし、今後主流になるハイブリッド車電気自動車ASVの整備で必要になる知識・技術は、いわば〝別物〟。

2024年に新たな車検制度が始まるとなれば、現行の自動車整備士資格には必要ない内容でも、最低限ASVの整備技術は学ぶ必要があるのです。

専門学校ごとに方針は異なりますし、当面は現行の資格取得に向けた指導に重きを置く学校もあるようですが、当校では全国の専門学校に先がけて、2020年11月に「特定整備認証工場」の認証を取得。2021年度からは「特定整備ASV」などの新科目も設置します。

 

 

 

 

乗用車に限らず 自らの多様な可能性を追い求めてほしい

―では、専門学校はどのように選べばいいのでしょうか?

自動車メーカー系の専門学校なら、そのメーカーに特化した技術が身につき、就職先も同じ系列のディーラーが既定路線となります。

一方、当校のような非メーカー系の専門学校では、さまざまな就職先で活かせる汎用的なスキルを修得します。企業との連携プロジェクトなども盛んなため、結果的に幅広いスキルを身につけることができます。

また、優れた自動車整備士を養成するためには、それ相応の指導体制や教員の力量が求められます。例えば、当校の「カルテシート」のように学生の習熟度を見える化する仕組みや、授業理解度を確認するための定期的な小テストの実施体制など、シラバスの内容も学校選びの重要なチェック項目です。

科目の目的と進め方、授業1回ごとの到達目標などがどれだけ入念に考えられてカリキュラムやシラバスがつくられているかは、教員を見定める判断基準にもなります。

また、学生が授業にしっかりついていける、サポート体制がどれだけ用意されているかもポイントです。当校では年間5期制を採用していますが、前期・後期の2期制よりもこまめに学生の状況を確認でき、随時適切なサポートにつなげられるからなのです。

教員の負担は大きくなりますが、学生を思えばこその取り組みです。学校を比べることも大事ですので各校のアドミッションポリシーを読み込む、オープンキャンパスで情報収集をするなどして自分との相性を確かめ、共感できる部分が多い学校を選ぶのがいいでしょう。

 

 

―最後に自動車業界を目指す高校生にメッセージをお願いします。

自動車業界において真っ先に先端技術が投入されるのは、実はバスやトラックなどの運輸業界や、クレーンをはじめとする建設機械の業界など、産業用途の分野です。つまり、小型車ディーラーでの乗用車の整備だけが自動車整備士の仕事ではないということです。

また、メーカーでの開発職や損害保険会社、自動車関連メディアなど、自動車整備士資格を取得することでさまざまな可能性につながるので、まずは視野を広げて将来像を思い描いてみてください。

その原点となる高校生活では、数学の基本は身につけておくようにしてください。専門学校では、最低でも二級自動車整備士資格、さらに一級自動車整備士資格を取得することで、任される仕事の幅が大きく広がっていくはずです。

 

自動車分野のポイント

1 先進安全自動車の整備力を磨こう

2024年から始まる新たな車検制度に向け、自動運転装置の検査に役立つ技術を身につけたい。

2 メーカー系と非メーカー系がある

自動車メーカー系と非メーカー系では、学べる内容や就職先に違いがある。

3 自動車に関連する多様な分野で活躍できる

クルマ社会の日本では、整備の勉強で培った能力をさまざまな分野で活かすことができる。

 

この質問に答えてくれた人

学校法人 小山学園
専門学校 東京工科自動車大学校
中野校
佐々木 章 校長
2020年4月より現職。学校法人小山学園理事のほか、東京商工会議所中野支部で評議員およびサービス分科会の副分科会長も兼務している。
取材後記
2024年から、車検の整備内容に自動運転などに関する「特定整備」が加わるそうだが、この「特定整備」について、過渡期の今は専門学校によって取り扱いに差が出るので注意が必要。と、佐々木校長。自動運転はバスやトラックからはじまる。というお話も初耳で聞き入ってしまった。
学校紹介
専門学校 東京工科自動車大学校
中野校
東京都中野区東中野4-2-3
(入学相談室)
TEL 0120-1969-04
https://car.ttc.ac.jp/